簡単なまとめに関しては「教師の夢、今こそ」参照
1.1. 「基礎・基本」の定義
教育基本法・学校教育法の改正において、三つの重要な要素が明確に示された。(前掲:広島県教育資料1/7 「5.」参照)
1.1.1. 確かな学力の育成
【基礎的・基本的な知識・技能の習得】
○指導内容の増加は、社会的な自立の観点から必要なものに限る。
○発達段階などに応じた、学習基盤の構築が大切。
【例】
○小学の低・中学年
体験的理解・具体的な思考や理解・反復学習などの工夫による、「読み・書き・計算」能力育成の重視
○小学の中・高学年
体験・理論の往復による概念の獲得、討論・観察・実験による思考・理解重視などの工夫
【思考力・判断力・表現力等の育成】
○観察・実験・論述等、知識・技能を活用する学習活動を発達段階に応じて充実
○基盤となる言語能力育成のため、国語科での基礎能力定着の上、各教科における記録・要約・説明等の学習に取り組む。その際、発達段階に応じた指導を心掛け、具体・抽象、感覚・論理、事実・意見など、言語活動における考慮が必要。
【学習意欲の向上や学習習慣の確立】
○家庭学習も含めた習慣の確立においては、特に小学低・中学年が重要な時期
○個に応じたきめ細かな指導により、つまずきの解消や、基礎基本的知識・技能の定着を図り、分かる喜びを実感させる。
○体験学習・キャリア教育なとから、学ぶことの意味を認識させる。
参考:幼稚園、小学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)
1.1.2. 学力調査の活用
各学校における様々な取り組みをより一層充実させるため、データに基づく成果・課題の分析をもとに、授業研究をし、授業の質を高めることが重要。これについては、各種学力調査の趣旨・内容を理解したうえで、調査結果を詳細に分析し、各学校においては指導の改善に活用し、各市町教育委員会においては学校への指導・支援などに活用することが大切である。
【分析】
①分析の目的と方法
課題を明らかにするための適切な方法を検討
②課題の明確化・焦点化
生徒の躓きの傾向を調べる。つまずく生徒の学習意欲や実態の傾向を調べる。
③つまずきや課題となっている原因の分析・考察
学習内容の定着状態が、学習実態・意識・生活実態とどう関係するか考察する。
【共有】
①分析についての校内研修
対象学年の担任のみならず、全ての教員が分析結果と課題への共通理解を持つよう、校内研修をする。
②校内研修における指導の見直し
年間指導計画と、課題となる単元の指導計画・シラバスの見直し・改善。生徒の学習や生活の実態・意識の改善案の作成。改善の成果を検証できるよう、検証の視点・目標値などの設定。
【活用】
①学力定着・向上のための指導改善
②家庭への啓発
家庭訪問などにおけるデータの活用
③小中連携
④学校評価
⑤次年度の学校教育計画の作成
1.1.3. 平成22年度調査の概要
以下、調査一般の概要を示し、英語における調査の概要をまとめる。
【基礎基本定着状態】
○基礎的・基本的な学習内容は、おおむね定着。但し、中学校英語における「書くこと」の領域の定着が不十分。
【課題】(中学英語)
①適切な語を用いた会話文の組立て②話の流れの理解③つながりある英文を書くこと
【指導の改善】
①関連ある文法事項の共通点・相違点を比較しながら整理して理解させる。beと一般動詞・do とdoes・do とare等②代名詞・副詞の理解と、指示語の明確化による前後関係の確認③一貫した内容にするためのトピック英作文やモデル文の提示による英作文による文構造の指導、接続詞・副詞の用法の指導など
【全国学力調査】
○おおむね定着だが、知識技能の活用に課題。
【課題】(外国語)
①まとまりのある文章から情報を読みとる②まとまりのある文章の概要・要点の把握と、それに関して日本語でまとめて表現する③指定された文脈に応じた作文
【指導の改善】
①文章の流れ・構造に注意しながら文全体を把握する指導の取り入れ②読みとった情報を日本語でまとめる活動の取り入れ③自分の考えを整理して英語で書く活動の取り入れ
1.2. ことばの教育の推進
確かな学力と豊かな心の基盤である「ことばの力」を生徒に身につけさせることを目的に、「ことばの教育」を推進する。新学習指導要領において、思考・判断・表現力の観点から言語活動の充実が求められている。各学校で、学校生活全体における「ことばの教育」を展開することが大切。
1.2.1. 本県の「ことばの教育」
○「知・徳・体」の基礎・基本の徹底をしていくための視点
全国に先駆けて「ことばの教育」に取り組んでいる本県では、「ことばの教育」を「知・徳・体」の基礎・基本の徹底を実現するための視点として位置付けている。国際化・情報化社会において、自分の考え・意見をまとめたり、正確な情報を的確にまとめたりする力、また、それを論理的で説得力を持った言葉で表現・発信するちからが求められている。加えて、都市化や少子高齢化においては、家庭や地域の教育力の向上、世代間でのコミュニケーション能力の育成が必要になってくる。このように、「ことばの教育」を通して、「生きる力」を養う事が大切である。
○児童生徒の発表の場
「ことばの教育」に関して、各学校では、生徒の実態に応じた特色ある取り組みを展開している。また、県教委実施の、「ことばの教育」に関する事業に多くの学校が参加しており、「ことばの教育」の取り組みgあ浸透してきている。
【「ことばの輝き」優秀作品コンクール】
書く力育成のため、日々の学習で作成した文章を募集。
【みんなでつくろう!「ひとしま自慢」】
地域を自慢する文章を作成することで、伝えたいことを簡潔にまとめる力の育成を図る
1.2.2. 新学習指導要領における言語活動の充実
新学習指導要領では、基礎的・基本的な知識・技術の習得を確立させるべく、その基盤となる言語教育の充実が示された。また、小中高の新学習指導要領解説総則編においては、論理思考のみならず、コミュニケーション・感性・情緒の基盤としても言語教育の推進が求められていて、各教科での言語活動の充実が挙げられている。
○児童生徒の現状と課題
学習指導要領の改訂に当たり、生徒の現状と課題が示された。具体的には「思考・判断・表現力」や、「知識技能の活用」、「将来や人間関係に不安をかかえる」という課題があり、それらの改善に言語活動の充実が求められている。
○思考力・判断力・表現力等の育成
学校教育法第30条第2項(前掲:広島県教育資料1/7 「5.」参照)
知識技能は、それらの活用による課題解決、またその課程における思考・判断・表現によって習得されるものである。そしてその支えとなるのが、言語能力である。この観点から、特に思考・判断・表現力をはぐくむために、国語以外の教科における言語活動の充実が求められている。
○これまでの「言語活動」の見直し
これまでの言語活動にかけていたものは、「生徒にどのような力が身につくのかという目標の明確化」である。言語活動の充実は教科の力を高めるためのものであり、上に挙げた目標の設定によって実効あるものになる、と言うことにかんして、学校全体での共通理解・改善が大切である。また、各教科において設定する目標が異なるため、それぞれの教科で、求める力を効果的に身に付けさせる指導の工夫が必要。
(例省略)
1.2.3. 学校生活全体での取組
教科指導だけでなく、学校生活全体を通しての取り組みが有効である。学校生活における教師・他の生徒の言葉、掲示板・配布物など、多くの言語に接する中、教師自身が言語に対して高い認識を持つことが大切である。また、生徒同士が集団の中で安心して話が出来るような、生徒間、生徒教師間の好ましい人間関係の形成が大切である。
1.2.4. 読書活動の推進
○ねらい
ことばを学び、感性を磨き、表現力を高め、想像力を豊かにするなど、人生をよりよく生きるための力を身につけていくうえで大きな力を発揮するものであり、「ことばの力」育成など、学力の基盤ともなるものである。H21全国学力・学習状態調査結果からも、一日あたり10分以上読書する生徒の方が、国語の正答率が高いという傾向もみられる。
各学校において、生徒の望ましい読書週間の形成を測り、日常生活における読書活動を活発にする取り組みが期待される。
○読書活動の推進
① 「朝の読書」活動の推進
読書習慣の定着に有効。H17年以降、公立・県立小中高において実施率100%である。
②不読者(1か月に1冊も本を読まない児童生徒)数の減少
図書室の整備、推薦図書の紹介、読み聞かせ、ブックトーク、イベント、授業内での書籍の活用、読書ボランティア、公立図書館との連携など、読書推進に向けての取り組みの成果であると考えられる。
○広島県子どもの読書活動推進計画(第二次計画)
第一次計画に引き続いた施策。「本を『たくさん読む』、『よりよく読む』事を目指し、またそれらを支える『環境の整備』を進める」という基本方針に基づき、「小学校では、すべての児童が1カ月に1冊は本を読むことを目指します」、「『子どもの読書活動ボランティア』10,000人をめざします」、「市町の子ども読書活動推進計画を策定している市町が100%となることを目指します」など、具体的な目標を示し、その達成に向けた取り組みをしている。
○学校図書館の活用
ア 目的
図書・教材・資料を整理・保存し、生徒・教師の利用に供することで、教育課程の展開と、生徒の健全な教養を育成
イ 学校図書館を活用した教育の推進のポイント
教師全体が学校図書館の重要性について理解し、組織的・計画的に活用していくことが大切。
①読書センターとしての学校図書館
楽しんで自発的に、自由な読書活動をさせ、豊かな心・基礎学力・個性・自ら学ぶ(生きる)力を培う。
②学習・情報センターとしての学校図書館
問題解決・探究的な学習を通して、主体的な学習態度、情報収集・選択・活用能力を身につける。
③地域に開かれた学校図書館
家庭や地域における生徒の読書活動の活性化。公立図書館との連携による、読書案内・読書相談、また、学校図書館への貸出や情報提供。
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