一次回
先日、福岡で開催された翻訳ミステリー読書会と言うものに参加してきました。
お世話をしてくださったのは、翻訳家の駒月さんと三角さん、そしてゲストには、こちらも翻訳家の横山啓明さん(御著書一覧はこちらから)がお見えになり、やく二十名ほどの参加者で課題図書:キャロル・オコンネル『クリスマスに少女は還る』(Judas Child) 務台夏子訳 についての感想を言い合ったり、細かいところを話し合ったりしました。
詳しい内容に関しましては、他の参加者のかたが既にまとめておられるので、そちらをご参照ください。
皆さんが読書会での感想を言っているとき、本当に楽しそうに話されていました。細かいところまで読んでこられた方もおられました。面白いとか、面白くないとか、色んな感想・意見がありましたが、どの方の発表を聞いても「本当に読書が好きなんだな」と言うのが伝わるようでした。
二次回
二次回では、色んな人に色んな本をお勧めしていただきました。ロス・マクドナルド、ペレケーノス・・・新出単語が多い日でした。また、翻訳者で選ぶという方法もおそわりました。
駒月さんからは、御本人の翻訳書、ジャックリッチーの『カーデュラ探偵社』をお勧め頂き、早速アマゾンに手購入。これは短編集で、星新一のような面白さがある、とのことでした。
二次回も終盤に差し掛かったころ、横山さんとお話しする機会がありました。御本人翻訳のマット・ラフの『バッド・モンキー』というのがお気に入りのようで(?)こちらもメモして帰り、早速注文しました。
折角の機会だったので、一つ質問をさせていただくことにしました。「日本にも面白い作品はあるのに、あえて翻訳書を選ぶ理由を挙げなさい」という内容の下らない質問でしたが、横山さんは丁寧にお答えくださいました。まとめますと、
実際日本の本の質も上がっているし、なぜ翻訳書かと聞かれると答えづらい。あえて言うなら「外国への興味」とか、「舞台の違い」なんかが挙げられるだろう。違いという点では、日本にはない“バカや無茶”があるのも大きな点かも知れない。
また、日本の作家にしても、そのルーツは翻訳書にある。言わば、現代の日本の文化は翻訳書に育てられたようなものであり、そのルーツを追うのも醍醐味の一つ。さらには、このままルーツをおざなりにしたら、日本文学の衰退にもつながるやもしれない。
とはいえ、現代の若者はルーツを追う事をしなくなってきた。やはり、翻訳書云々ではなく、一つの作品として、作家として楽しむことが出来ればいいのではないか。
というような内容でした(と思います)。
もうひとつ。退室間際でした。「翻訳は読みにくいというイメージがあって取っかかりにくい」、という話に転んだのですが、その時横山さんはこのように仰いました。「最近はちゃんと読者を意識した翻訳になっている。原作がどんなに難しいものでも、読者を意識して、出来るだけわかりやすくしている。読者あってのもの。」
メモ不足で、実際どう仰ったかはっきり覚えていませんが、そのお言葉になにかぐっと来るものがあったのを記憶しています。メモが無い今、その「ぐっと来るもの」をここにうまく表現できないので(メモがあっても出来ないだろうと思いますが)、このお話はひっそり、自分だけの糧にしようと思います。
三次会
皆さん屋台に行くなどの流れに反して、僕は参加者のお一人(Sさんと称します)につれられ中州へ。建物はきらびやかで人は多くて、服装もスーツやらなんやらで、“表”とは違う雰囲気でした。数分すると、ぱっとしないビルにつきました。そこのぱっとしないエレベーターに乗って上へ。エレベーターが止まって扉が開くと、明らかに今までとは違うダークブルーの世界が広がりました。向こうからボーイさんが二人やってきて「これはこれはS様。お久しぶりでございます」、と、どこかのドラマかなんかでしか聞かないセリフ。これがクラブか、と圧倒されている内に、席に案内されました。
席につくと、最初に綺麗な女性が二人ほどいらしました。その後なんだかんだで入れ替わり立ち替わりがあって、結局男二人に女性三人という形に。
そこでの女性の立ち居振る舞い、ボーイの心遣いなんかに感心しました。女性はと言うと、Sさんが煙草を取り出すや否やライターがでてくるし、グラスに水滴がついたらせかせか拭いてるし、会話の流れの中で自然と持ちあげるし。ボーイさんはというと、いつの間にか現れたりいつの間にかいなくなったり。声のトーンははっきり聞こえるのに邪魔にならない。
これも折角の機会なので、立ち居振る舞いのいろはについてお尋ねすることに。以下にまとめます。
1. 飲み物
氷は音を立てずにセット。お酒はラベルを上にして(常識)、皆さんが持つところに触れないよう、ボトルの半分より下を両手で支えてそそぐ。そそぎ終わるときは、ボトルを少し回転させることでお酒を切る。氷を追加して、お水で薄める。この時、乾いた氷で口を切らないよう、全ての氷に水をかける。マドラーで氷を沈める。そして混ぜる。マドラーを抜く前に回っている氷を止める。水滴を拭いて出す。
2. 姿勢とポジション
2.1. 姿勢
手は膝の上で重ねる。左が上。理由は、右手は刀を握る手であり、それを隠すことで敵意の無いことを示すという日本の伝統から。
2.2. ポジション
今回のように5人の場合:奥から、
a)指名された人 b)お偉いさん(Sさん) c)連れ添いの世話役 d) 連れ添い(私) e)お酒を作る人
の順に座る。
奥が深いと思います。もはや日本の伝統ですね。
と、濃い一日でした。
読書会の記録と言うよりは、「中州探検記」みたいになってしまいましたが、よしとします←
最後に、御機会を与えてくださった駒月さん・三角さん、そして東京からお越しの横山さん、いろいろなお話しを聞かせてくださったSさんや参加者の皆さんに感謝します。
0 件のコメント:
コメントを投稿