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広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ

2011年7月24日日曜日

小説の多様性

本記事は、

・宮部みゆき(2001) 『心とろかすような ~マサの事件簿~』 創元推理文庫
・眉村卓(2004) 『妻に捧げた1778話』 新潮新書
・星新一(1972) 『ノックの音が』 講談社文庫

を読んでの感想・まとめである。それぞれに付いての感想・まとめ、三冊を通して思ったことなどを書いていく。



1. 宮部みゆき 『心とろかすような』

本書は、同著者による『パーフェクト・ブルー』という作品の続編のようなものであるが、特に前作を知らなくても楽しめる。

1.1. まとめ
本シリーズは短篇集になっていて、マサという犬が主人公である。探偵事務所の犬である。周りに起こる事件を色々解決していく課程が、犬の目線で書かれている。動物には人間の言葉がわかり、時には動物同士で「人間の言葉」を使って会話するのだが、口の作りから人間に理解できるほど明確な発音はできない、という設定になっている。動物同士の会話・やり取りと、それをうまく理解出来ない人間の関係が興味深い。また、短篇集ならではの「読みやすさ」・「プロットやちょっとしたどんでん返し」と、宮部みゆきによくみられる(と思う)「いいお話的なオチ」など、サクサク楽しみながら読める。

1.2. 感想
今回は犬の視点であったが、本著者は人間以外の視点が多いような気がする。人間以外の視点であるから新しい感じがするのか、そういう見方・考え方があったか、と思わされる。短編ではあるが、ちゃんと「登場人物の背景」「プロット」「オチ」などがあって、飽きずに読むことができる(ような気がする)ところが良いと思う。


2. 眉村卓 『妻に捧げた1778話』



2.1. まとめ
本書の、1778話というのは、病床に伏す妻のために著者が書いた短編の数である。毎日一話ずつ書いたということなので、書き始めてから1778日間のお話である。本書は、その短編のかかれた背景にある妻と著者の関係や、1778話の内の数話が取り上げられ書かれている。本書に出てくる短編は、以下にあげる「日がわり一話」などに収録されているものの一部である。はっきりと落ちの無いもの、なるほどと思うようなものなど様々ある。それぞれ、「背景となる出来事など」を読んでから短編を読むようになっている。また、短編の後には著者による「自己注釈」が付いている。







2.2. 感想
 短編の種類などはいろいろあるが、どれもその背景となる「妻の病状」などといったものが反映されているような気がする。背景によって読み方を変える、というのには賛否両論あるだろうが、これもひとつの読み方としてあっていいのではないかと思う。
 最後に、"作品を読んだ妻の反応が予期せぬものであった”というところから、"お互いに理解し合えてないところがあった”ことに気づいた著者が、「少し長いあとがき」にて書いていることを引用して、本書のまとめを終わる。

「人と人がお互いに信じ合い、共に生きてゆくためには、何も相手の心の隅から隅まで知る必要はないのだ。生きる根幹、めざす方向が同じでありさえすれば、それでいいのである。私たちはそうだったのだ。それでいいのではないか。」



3. 星新一 『ノックの音が』

3.1. まとめ
本書には15編の短編が載っているが、そのすべてが、「ノックの音がした。」と始まる。同じ始まり方でも、内容が全て違う(当然)。どれも20ページそこそこで、すぐ読み切ることができる。登場人物の人物背景などに関する記述は非常に少なく、話の展開の面白さに重点が置かれているような作品である。中には、背景描写がないからこそ映える作品などもあって面白い。

3.2. 感想
人物に感情移入するようなことは少なく、話の展開だけに集中して読んでいたように思う。また、作品がそれぞれ短くてスッと読みきってしまうので、もう一話だけ、もう一話だけ、という間に終わっていたような感じがする。いわゆる「人情もの」が好きな人にとっては、人物の背景描写が無いのは痛いかもしれないが、書かれていない分勝手に想像することができる。いろいろ妄想しながら、想像しながら、先の展開を考えながら読むことができて、個人的にはとても面白かった。


4. 三冊を通して
今回取り上げた本はどれも、「短篇集」であった。同じ短編集でも、ある程度の人物設定・背景があるものや、著者自身の生活という背景があるものや、展開が主なものなど様々あった。そしてそれぞれが、短編だからこそ面白いのではないかと考えた。例えば、この中のどれかの作品が、そのスタイルのままで数百ページの長編として出てきたら、途中で飽きてしまいそうな気がする。どんでん返しばかりでは疲れるし、人物描写だけになった時点で「事典」である(もちろんそれがいいこともあるかもしれないが)。長編では、人物の背景描写も重要な要素であるし、突拍子も無い展開もひとつの読みどころであったりして、その色んな条件がうまい具合に相互作用しあって初めて面白いものになるのだと思う。そう考えると、短編というのはいわゆる「イイトコどり」の作品ということができはしないか。

結論が見えなくなってきたが、要するに「本は面白い」ということで、ご勘弁願いたく思います。

気づかれない小さな仕掛け

志村けん(2002) 『変なおじさん 【完全版】』 新潮文庫



本書に関してや、読んでの感想などを恣意的にまとめる。


1. 本書について
本書は、日経BP社の『変なおじさん』(1998)と、『変なおじさん リタ~ンズ』(2000)を合本にしたものである。著者の「ドリフに入ろうと思ったきっかけ」・「理想のコント像やコント観」などが書いてある。合本であるためか、一冊を通して何度か同じことが繰り返し書いてあったり、細かい流れが無いことなどがある。一方、少しずつ読みきることができるので読みやすいのかもしれない。ドリフファンや志村けんのコントのファンには読んでいて非常に興味深い本である。


2. 内容
「コントにこだわってきた」「コントしかできない」という"まえがき”から始まり、「ドリフのメンバーになるまで」「全員集合時代」「バカ殿様」「お笑いについて」「気になる人・お世話になった人」「自分のこと」など、内容は本当に様々である。また、最後の解説には「吉田拓郎」。志村けんの芸人としての生活や人間関係がちらちらと見えている。


3. "良い”コント
本書中に、志村けんのコント観についての記述があったので、それを三点にまとめる。

3.1. グループで作るコント
コントでの笑いは、個人個人が取るのではなく、全体で取りに行くものであるという。でしゃばって目立つ・笑いを取るのではなく、「自分の持ち場でちゃんと目立てば、それでいい」というのが著者の考えである。(P.74) このことは、「ONE FOR ALL」という言葉でも表されている。(PP.181-182)

3.2. 構成
 著者は、コントには順番があるという。「おもしろいコントをダーッと並べ」るのではなく「並べる順番というか計算」、つまり、「動きのコント」や「しゃべりで笑わせよう」という「笑いのパターンをどんどん変えて、しかし見ている人にはそれと感じさせないで、リズムよく見せてい」くという「バランス」が大事であるのだそうだ。(PP.133-135, 194) 
 また、台本作成の段階で『「こんなことやろうか」と考えた上で、さらに台本にしてくるときには「こんな言い方もできます」』という「プラスアルファ」などを事細かに設定すること、「ヘタすりゃ見逃しちゃうような小ネタをいっぱい入れる」ことにより「2、3回見ると、こんなこともやってる」という発見があって「何度でも楽しめる」ようなモノにすることが大切であると説いている。(PP.162, 250)

3.3. 自ら楽しむ
コントをやる人間の真剣さが伝わってしまっては面白くない。芸人も楽しむことが必要であるという。そのため著者は、「自分が好きな人を、まずゲストに呼んだり、レギュラーに加えたりする」そうである。(P.153)


4. 終わりに ~本書を読んでRIP SLYMEを想う~

 「見るたびに発見があるほどコネタを仕込む」というのが挙げられていたが、これはRIP SLYMEの歌にも見られる特徴ではないかと考えた。歌詞を見ずに聞いているだけでも色んな仕掛けに気付くし、歌詞を見て初めて気づく仕掛けもある。また、「グループの仲の良さ(グループで作る)」という点も備わっている。また、彼ら自身、とても楽しんでいるように見える。RIP SLYMEに関する記事
 こうして見てみると、コントも歌も、ひいては大抵の事に置いて、これらの「構成・団結力・楽しむこと」というのが大切なように思えてくる。

2011年7月15日金曜日

学校教育法 まとめ

学校教育法

1. 第一章 総則
1.1. 定義
この法律でいう「学校」は、「小・中・高・中等教育・大学・高専・盲・聾・養護・幼稚園」とする。

1.2. 設置に関して
1.2.1. 設置と関連機関
学校は、国・地方公共団体・学校法人のみが設置できる。国が設置したものは「国立」、地方公共団体が設置したものは「公立」、学校法人が設置したものは「私立」という。学校の設置はその種類に応じて、「文科大臣」の定める設置基準に従わなければならない。またその設置・廃止・設置者の変更等にあたっては、「大学・高専」は文科省の認可が、「大学以外の公立校」は地方公共団体の認可が、「大学以外の私立校」は都道府県知事の認可がそれぞれ必要。
  【例外】
「大学の学位の種類・分野の変更を伴わない変更」「大学の学科の廃止」「指定都市の設置する幼稚園における変更・廃止」においては認可を得ずに行える。ただしこの場合は、予め文科省に届け出なければならない。
1.2.2. 設置経費
学校の設置者は、その設置する学校を管理し、原則経費を負担する。授業料の徴収は、義務教育出ない限りにおいて可能である。
1.2.3. 学校側の違反とその対処
学校側が「法令に故意に違反したとき」「法令に基づく命令に違反した時」「六ヶ月以上授業を行わなかったとき」、学校の閉鎖を命じることができる。他にも、「都道府県知事」「地方教育委員会」は、それぞれの管轄の学校が「設備・授業内容」などで法律違反に当たる場合、「その変更を命ずること」ができる。文部科学大臣は、法令に違反した大学・高専に対して「必要な措置をとることを勧告すること」ができる。その後に「変更の命令」、それでも改善がなければ「組織の廃止」を命ずることができる。


1.3. 学校における教員
学校には、校長、相当数の教員を設置する。私立校においては、校長を定めた後、「大学・高専」は「文科大臣」に、「それ以外の学校」は「都道府県知事」に届け出なければならない。
1.3.1. 教員の資格
以下の項目に該当しない者に与えられる。
「成年被後見人・被保佐人」「禁錮以上のけいに処せられた者」「違反により、免許取り上げ処分をうけて、もしくは免許の効力を失って三年未満の者」「政府を暴力で破壊することを主張する政党等を結成した・それに加入した者」
1.3.2. 罰則を与える
教育上必要がある時に限って、生徒に懲戒を加えることができる。ただし体罰は認められない。


2. 第二章 小学校
2.1. 目標
小学校は、初頭普通教育を施すことを目的とし、その目的達成のために以下の目標達成に努める。

・人間関係の理解と、協同・自主・自立の精神を養う
・自他の伝統を重んじ、国際協調の精神を養う
・日常生活における「衣食住・産業」「国語能力」「数量関係」「自然現象」を、理解・処理する能力を養う
・健康で、安全で幸福な生活に必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図る
・生活を豊かにする藝術などに関して理解し、その技能を養う。

これらの達成に向け、ボランティア・自然体験などの「学習活動」を重んじる。そのためには、各関連機関との連携が大切。

2.2. 義務教育と教科書
2.2.1. 義務教育と教科書について
小学校は6年とし、使用する教科書は文科省の作ったものを用いる。ただし、有益適切なものは教材として用いることができる。この六年は義務教育であるが、盲学校・聾学校などにおいて6年でその全課程を修了できない場合、9年のスパンで見ることができる。また、経済的理由や病気などによってその就学が困難な場合は、「経済的理由」の場合は市町村が支援し、「病気など」の場合はこの義務を猶予・免除できる。*学齢にたっしない児童は入学できない
2.2.2. 出席停止
以下の行為を行う生徒には、その保護者に対して生徒の出席停止を命じることができる。

・他の児童・職員に障害・心身の苦痛・財産上の損害を与える
・施設を損壊する
・授業や他の教育活動を妨げる

こうした理由で出席を停止する場合は、保護者の意見をとり、「理由とその期間」を記載した文書を交付する。ただし、これらの生徒に対する学習の支援は必要である。

2.3. 教員
小学校には、校長・教頭・教諭・養護教諭・事務職員を置く。必要とあれば他の職員も置くことができる。教員はそれぞれの役割を果たさなければならない。

2.4. 施設
市町村は、小学校を設置しなければならない。それができない場合、都道府県はその市町村への支援をしなければならない。それでもできなければ他の市町村にその教育を委ねることができる。私立の小学校は、都道府県知事の所管に属する。


3. 中学校
3.1. 目標
中等教育を受けさせるため、以下の目標を達成する

・小学校の教育を十分に定着させ、国家・社会の形成者を育成する
・社会において必要な知識技能を収得させ、勤労を重んじる態度、将来の進路選択能力を育成する
・学校内外における社会的活動を通し、感情を豊かにし、公正な判断力を養う

3.2. 義務教育
中学校は三年とし、教科に関しては文科大臣の定めるところによる。これは義務教育だが、小学校と同じようにその教科書の指定・義務教育の免除などがある。


4. 高校
4.1. 目標
高等教育及び専門教育を目的とし、以下の目標を達成する。

・中学校における教育を充実→社会形成者
・しゃかいにおける使命を自覚し、将来の進路を見据えた社会参画の態度とそれに必要な知識の習得
・社会への理解・健全な判断力を養い、個性の確立に努める

4.2. 課程
全日制は三年、それ以外は3年以上とする。高校への入学は、中学校・中等教育前期を終了した者、もしくは、文科大臣によってそれと同等の学力を認められた者である。高校は、通信制・全日制・定時制と、それぞれを置くことができる。また、他の県の者を生徒とすることはできるが、その際は文科大臣に届け出なければならない。通信制・定時制で履修したものは、その学校において履修したものとみなすことができる。また、専攻科の高校は、その修業年限を一年以上とする。

4.3. 教員
高校には、実習助手・技術職員を置くことができる。課程を複数置く場合は、その担当の教頭を置かなければならない。


5. 中等教育学校
5.1. 目標
中学校と高校を合わせた物

5.2. 課程
前期三年(中等教育)後期三年(高等・専門教育)。ただし、後期に全日制以外を置く場合、後期は3年以上とする。


6. 大学
6.1. 目標
学術の中心として、広い知識と深い専門の研究、知的・道徳的応用力の育成を目的にする。

6.2. 課程
基本的には学部を置く。大学は、通信制・夜間を置くことができる。通常四年制だが、通信制・夜間・特別の専門事項を扱う場合などは、それ以上とすることができる。医学・歯学・薬学・獣医学などは、六年とする。これらの年限に到達していなくても、文部省の定める年数在学し、なおかつ必要単位を優秀な成績で取得したものは、卒業することができる。大学入学は、高卒もしくはそれと同等の学力を持っていることが必要。ただし、高校に一定年以上在学した者で、当該大学の専攻分野に非常に特化したものは、大学入学が可能である。ただしその時、大学は以下の条件を満たさなければいけない。

・当該分野に関する教育研究が行われている大学院が在ること。
・当該分野における資質の育成にふさわしい実績・指導体制を有すること。

大学の専攻科は、大学を卒業した者・又はそれと同等以上の学力がある者に対して、研究の指導を目的とした教育が可能。その年限は一年以上とする。

6.3. 教員
学長・教授・助教授・副学長・学部長などを置く必要がある。教授会には、助教授やその他の職員を加えても良い。

6.4. 設置
大学は、文科省の定めるところにより設置できる。したがって、文科省の所管とする。大学には、研究所・研究施設・大学院を置ける。大学院は、理論や応用を研究・教授し、その深奥を深めたり、高度の専門性を担う 学識をつけたりすることを目的とする。大学院は、研究科を置くことが原則である。また、夜間・通信課を置くこともできる。

6.5. 称号
6.5.1. 学位
大学卒業時に「学士」・大学院卒業時に「修士」または「博士」を与える。短期大学においては、短期大学士という号がある。さらに、「短大・高専を卒業したもので、大学を卒業したと同等以上の学力を有するものには"学士”」「大学院に相当する教育を受けたとみなされるものに"学士”"修士”"博士”」を与えるというものもある。
6.5.2. 教授
教育上・学術上特に功績のあった者に対し、学校は名誉教授の称号を授与できる。

6.6. 評価
大学は、その教育水準の向上・維持のため、自己評価を行い、それを公開する。また、他の期間による評価も受けるものとする。特に専門職大学院を置く大学は、大学院の教育課程・教員組織・教育活動に関しても定期的に認証評価を受ける。認証評価機関になろうとするものは、以下の条件を満たす

・評価基準・方法が的確に行える物であること
・評価に必要な設備が整っていること
・大学からの意見申し立てを受け入れていること
・評価を円滑に行うための経理的基礎を有するものを有すること
・評価機関としての認証を取り消されてから2年以上経っていること
・公正さが確保できること

この評価の結果は、行われてからすぐに大学に通知されること。また大学はその通知を公表すること。こうした評価の基準を変えるときは、文科大臣に届け出ること。また大臣は、公正な評価がなされているかを確認するため、報告書などの提示を求めることができる。もし求めに応じなければ、その機関を取り消すことが出来る。


7. 高専
7.1. 目的
職業に必要な能力を育成する。

7.2. 課程
高専には学科を置く必要があり、専門科を置くこともできる。修業期間は5年だが、商船に関する学科は五年六ヶ月とする。高専は、中卒以上で入学可能、高専の専攻科は高専卒業以上で入学可能。専攻科の修業年限は一年以上とする。

7.3. 教員
高校に同じ。

7.4. 学位
準学士の称号が得られる。また、高専を卒業したものは、文科大臣の定めるところにより大学に編入ができる。


8. 特殊教育
8.1. 目的
盲・聾・養護学校は、幼・小・中・高・に準ずる教育を施し、必要な知識技能を身につけさせることを目的とする。

8.2. 設置
これらの学校は原則、「小学部・中学部」「寄宿舎」を置かなければならない。寄宿舎を置く場合は、そこに寄宿舎指導員を置き、生徒の世話・生活指導をしていかなければならない。これらの学校を必要とする子どものため、都道府県は、これらの学校を設置しなければならない。また、小中高・中等教育学校は、以下に該当する生徒の為に特殊学級を置くことができる。

・知的障害者
・肢体不自由者
・身体虚弱者
・視弱者
・難聴者
など

9. 幼稚園
9.1. 目的
適当な環境下で幼児を保育し、その心身の発達を助長することが目的。そのため、以下の点に注意。

・健康で安全な生活に必要な日常習慣の養成・身体の機能の発達を図る。
・集団活動を経験させ、喜んでそれに参加する強調の態度と自立の精神を芽生えさせること
・社会に対する正しい理解を芽生えさせること
・正しい言語使用に導き、童話・絵本などに興味を持たせること。
・音楽・遊戯などで、創作的表現への興味を養うこと

幼稚園には、満三才から小学校就学までの子どもを入園させる。


2011年7月14日木曜日

教育公務員特例法 まとめ

教育公務員特例法

1. 第一章 総則
1.1. 趣旨
この法律は、教育公務員の「職務・任免・給与・分限・懲戒・服務・研修」について規定するもの。
1.2. 定義
○教育公務員:「大学を除く」公立の学長・校長・教員・部局長・教育委員会の教育長・専門的教育職員
○教員:教授・助教授・教頭・教諭・助教諭・養護教諭・養護助教諭・栄養教諭・講師

2. 第二章 「大学」と「それ以外の公立学校」、「教育長」の任免・分限・懲戒・給与
2.1. 大学
2.1.1. 任免
採用はすべて選考によるものとする。
2.1.2. 分限・懲戒など
教員らは、評議会・学長の審査の結果によらない限り、そのいに反して「転任・免職・懲戒処分」されることは無い。休職を受ける場合、その期間は評議会を通して学長が決める。

2.2. 大学以外
2.2.1. 任免
選考による。任命権者は、大学附属こうであれば大学長が、それ以外は当該校の校長・教育長である。
2.2.2. 分限・懲戒
結核性疾患による休職期間は、原則満二年。ただし、相応の理由があり、学校が経済的に余裕がある状態であれば、満三年まで伸ばすことが可能。
2.2.3. 給与
小中に当たる公立の学校の教員は、「義務教育等教員特別手当」を受ける。

2.3. 教育長
2.3.1. 任免
教育長が行う選考による。
2.3.2. 給与
地方公共団体の条例で定める。


3. 第三章 服務
3.1. 兼業
本務の遂行に支障がないと任命権者が判断した場合は、給与を受ける受けないにかかわらず、他の職・事業・事務に従事することができる。

3.2. 政治的行為
国家公務員として、政治的行為は制限されている。

3.3. 大学における服務とその評定
評議会に基づいて学長が定める。また、その評定とそれに対する措置は、学長が行う。ただし、学長の評定は評議会が行う。


4. 研修
4.1. 教員と研修
教育公務員は、職責の遂行のため、絶えず研究と修養に努めなければならない。教育委員会などの任命権者は、「研修に必要な施設の準備」・「研修に関する計画の樹立」などによる研修実施の支援をしなければならない。また教員は、授業に支障のない限りにおいて、「勤務場所を離れて研修を行うこと」「現職のままで、長期にわたる研修を受けること」ができる。

4.2. 初任者研修
任命権者は、初任者に対して、採用の日から一年間の教務の遂行に必要な事柄に関しての研修、「初任者研修」を受けさせなければいけない。その際、当該校に指導教員を置くなど、することが求められる。指導教員は、研修において指導・助言を行う。

4.3. 十年者研修
教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修として、「十年者研修」がある。これは、採用の日から(原則)十年に達した教員に対して行われるものである。この実施に当たって任命権者は、研修を受けるもの一人ひとりに合った計画を作成四なければいけない。

4.4. 大学院修学休業
三年を超えない範囲で、かつ、専修免許状を取得する目的において、大学院修学休業を取ることができる。ただし、初任者研修を受けているものには適応されない。また、この休業中の給料は支給されない。この効力は、当該教員が休職・停職の処分を受けた場合、失われる。


5. 職員団体
都道府県の公立学校の職員のみが組織する団体(「地方公共団体の公立学校の職員」ではない)を
職員団体とする。職員団体の職員は、免職・懲戒処分をうけた場合でも、以下の条件下では引き続き当団体の職員で在ることができる。
「処分が、当人の意に反する場合」かつ「一年以内に審査請求・訴訟し、その結果が未だ確定しない期間」


教育基本法 まとめ

http://fish.miracle.ne.jp/adaken/law/laws.htm

教育基本法

1. 前文

我々は、国家の発展と、世界の平和と、人類の副詞の向上に貢献する事を願う。教育は、「個人を尊重し、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と想像性を備え、伝統を継承し、新たな文化の創造を目指す教育」を目指す。

2. 第一章 目的・理念

2.1. 教育の目的

国家・社会の形成者として必要な資質を備えた人格の完成と、健康な国民を育成すること。そのため学問に関しては以下の点を養うように努める。

a) 広い知識と教養・真理を求める態度・豊かな心・健やかな体(生きる力)

b) 個人の尊重とその能力の育成・自主性と自律性の育成・勤労を重んじる態度(自立性)

c) 正義と責任・平等の精神・自他の尊重・公共の精神・社会形成の態度(社会の形成)

d) 生命・自然・環境を大切にする態度(環境保全)

e) 自他国の伝統を重んじ、自国愛・他国愛の精神(国際協力)

2.2. 理念

生涯学習を通して国民一人ひとりが人格を磨くことで豊かな人生を送ることができる。そのため、あらゆる機会にあらゆる場所で学習でき、その成果を生かせる社会の実現が必要。また、教育の機会均等も視野に入れ、「人種・信条・性別・身分・経済的身分」による差別があってはいけない。また国・地方公共団体は、障害のある者に、その障害に応じた適切かつ十分な教育を提供しなければいけない。

3. 第二章 教育の実施に関する基本

3.1. 義務教育

すべて国民はその保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、国家・社会の形成者として必要な基本的な資質を養うことを目標とし、国・地方公共団体はその水準を上げることに努め、授業料は徴収しない。

3.2. 学校教育

学校の設置は、国・地方公共団体・法人のみができる。学校は、個人の心身の発達に応じた体系的・組織的な教育を提供し、規律を重んじ、自律性のある人間を育成する。

3.3. 大学

深く真理を追求し、自主性・自律性や、学校の研究の特良を活かした教育を実施する。

3.4. 私学

国・地方公共団体は、私学の自律性を尊重しつつその学校教育の振興に努める。

3.5. 教員

崇高な使命の自覚・研修・職責の遂行が大切。その立場から、身分と研修が保証される。

3.6. 家庭教育

父母は教育の最高責任者。生活習慣などの自立心の育成に励む必要がある。国などはその援助をする。

3.7. 幼児教育

三つ子の魂百までを念頭に、良好な環境の中で行うべき。

3.8. 社会教育

図書館・博物館などの社会教育施設の充実を図るなど、国などは支援する。

3.9. 学校・家庭・地域の連携による教育

各自の役割を理解し、しっかり連携しよう。

3.10. 政治・宗教教育

良識ある公民としての政治教育・宗教への容認の態度や知識を育成するための宗教教育は必要だが、国・地方公共団体は特定の政治・宗教を助長してはいけない。

4. 第三章 教育行政

非教育関係団体等による不当な支配に服することなく、教育の役割をしっかり果たしてくべき。そのため、教育の水準の向上や振興・教育における円滑な接続などがしっかり実施されるように、国・地方公共団体は支援する。特に政府は、教育の振興に関する計画を作成し、国会に報告・公表しなければいけない。また、地方公共団体は、政府のだした教育振興基本計画にもとづいて、それぞれの地域に合わせた計画を作成しなければいけない。

2011年7月13日水曜日

高校英語科学習指導要領 まとめ

高校英語科学習指導要領

外国語編

~第一章 総説~

1. 改訂の経緯と趣旨・内容

1.1. 改訂の経緯

1.1.1. 社会的背景

社会の変化・社会の知識基盤化に対応して、異文化交流や基礎知識の定着などの「生きる力」の育成を図ることが重要。それには、知徳体の総合的な教育・家庭学習の時間の確保・将来への展望・体力づくりが必要。

1.1.2. 答申

答申においては、以下の点の充実が提言された:「基本法を踏まえた生きる力の育成を充実」「基礎的な知識をもとにした思考判断表現」「確かな学力の確立に向けた授業数の確保と学習意欲・学習習慣の確保」「豊かなこころと健やかな体の育成」。

1.2. 改訂の趣旨

1.2.1. 改善の基本方針

読んだり聞いたりして得た知識を、書く話すを通して伝えるという4技能を使った指導の充実を図る。その際、文法事項はその活動をスムーズにするために指導する。また、内容についてこられない生徒に対応して繰り返しや中学校の内容を振り返る活動も取り入れる。

1.2.2. 改善の具体的事項

中学校との円滑な接続を考え、「英語基礎」では身近な場面を扱う。「コミュニケーションⅠ」では他教科との関連の中で興味関心を育成し、Ⅱ・Ⅲと進むに連れて内容的発展をさせる。これらをふまえ、「英語会話」・「英語表現Ⅰ・Ⅱ」ではプレゼンやディスカッションを充実させる。これらの教科における言語活動は、各教科の狙いを意識し、ITCの活用などの工夫が必要である。

1.2.3. 外国語科改訂の要点

外国語を通じて、「コミュニケーションへの意欲の向上」「言語活動の充実」「言語の適切な使用場面の習得」を達成することを目標としている。この目標に準じて、科目に関しても改善が行われた。コミュニケーションへの態度を養う「コミュニケーション英語」の設置、語彙の充実による言語活動の充実、「英語表現」などによる特定の場面(スピーチなど)における言語活動の充実を図っている。

1.3. 外国語科の目標

外国語を通じて「言語や文化に対する理解を深める」・「コミュニケーションへの態度を育成する」「情報や考えを適切に伝える」といったことを目標にしている。これらを個別に指導するのではなく、統合的に指導していくこと、さらには、4技能の統合も考えながら指導していくことが大切である。

1.3.1. 言語文化への理解

言語の意味や働きだけでなく、その背景となる文化への理解も重要である。

1.3.2. 態度の育成

特に国際化が進む中、自分の考えを伝えようとする気持ちが必要である。特に、英語によるコミュニケーションの需要は増えるであろう事から、非常に重要な項目であると言える。

1.3.3. 伝達能力

上記の二つの項目を統合的に見たものがこ伝達能力である。伝えるには、伝える手段としての言語知識と、伝えようとする意識・態度が必要である。

1.4. 外国語科の科目編成

コミュニケーション基礎・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、英語表現Ⅰ・Ⅱ、英語会話の順に2/3/4/4/2/4/2/

~第二章 外国語科の各科目~

1. コミュニケーション英語

「基礎・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」とある。

1.1. 基礎

基礎では高校で英語を学習するきっかけとなるよう、生徒の実態を踏まえた「中学校の内容・既習事項の繰り返し」などを行い、4技能の総合的な発達を狙う。このとき、言語を使う活動・体験を通して学ぶことが大切であり、そのために文法の指導・単語や連語、慣用句の指導なども必要である。

1.2. Ⅰ

基礎の内容を発展させたもの。加えて、「話の内容を理解し、伝える」という目的が加わる。読み聴きしたことを話したり書いたりする活動につなげる。この時、お互いに意見を述べ合うなどの相互的な活動も取り入れる必要がある。また、こうした活動を支えるための「適切な文章を書く力」「適切な発音」「意見と事実を見分ける力」などを養うことも大事である。

1.3. Ⅱ・Ⅲ

ⅡにおいてはⅠの発展的な内容。速読や先を予想しながら読むなどの技能の習得も行う。ⅢではⅠⅡを統合し、発展させたようなもの。

2. 英語表現Ⅰ・Ⅱ

多面的な視点で物事を見る力を培い、読み聴きしたことに関するスピーチを即興で行うなど、受け手を意識した話し方・書き方を身につける。読み聞きした内容をもとに話したり書いたりすることが大切。

3. 英語会話

身近な物事について話す力を培う。聞き返しや言い換え、ジェスチャー等、会話を円滑に行う技術を習得することが目的である。読む・書くといった活動につなげることも大切。

~第三章 各科目に共通する内容~

1.「言語使用場面」と「言語の働き」を大切にする。

1.1. 言語の使用場面

「特有の表現が使われる場面」「生徒の身近な暮らしに関わる場面」「情報を聞き出す場面」

1.1.1. 特有な場面

買い物・旅行・食事・電話・手紙やメール

1.1.2. 身近なこと

家庭での生活・学校での学習・地域や職場での活動など

1.1.3. 情報入手

「本・新聞・雑誌を読む」・「テレビや映画を見る」・「ネットを活用する」など

1.2. 言語の働き

「コミュニケーションを円滑にする」「気持ち・情報・考えや意図を伝える」「相手の行動を促す(依頼)」

1.2.1. コミュニケーションを円滑にする

相槌・聞き直す・繰り返す・言い換える・話題の発展や転換など

1.2.2. 伝える

褒める・感謝する・説明する・報告する・要約する・賛成または反対する・主張するなど

1.2.3. 相手を動かす・動いてもらう

依頼・誘い・許可・助言・命令・注意をひくなど

2. 言語活動において

言語活動を行うには、適切な言語材料が必要。ただし、問題演習のみにならないよう、活動を通して言語を習得できるように努める。

2.1. 語・連語・慣用表現

2.1.1. 語

英語Ⅰで400、Ⅱで700、Ⅲで700、その他必要に応じて、レベルに合ったものを加える。

2.1.2. 連語・慣用句

運用度の高い物を教える。

(以下、中学校学習指導要領に加えて)

2.2. 文構造

SVCV:一般動詞、C:分詞)

SVOOif節)

SVOOO2that節・what節・if節)

SVOCC:分詞・原形不定詞)

そのた(seemを含む物)

2.3. 文法

「不定詞」「関係代名詞・副詞(制限・非制限)」「助動詞」「代名詞(仮主語)」「時制(現在完了進行形・過去完了形)」「仮定法」「分詞構文」

3. 言語材料の使用に当たって

筆記体など、知っている生徒とそうでない生徒がいることを踏まえて、生徒に負担がかかりすぎないようにする。英語はいわゆる標準の物を用いるが、様々な形・音の英語があることも教える。文法の指導は、コミュニケーションを支えるものという立場で教える。また、実際に活用出来る形での習得をさせる。これらを達成するためには、学校外での英語に触れる時間の確保はもちろんだが、授業中もできるだけ英語に触れさせるために、教師は指導を英語で行う。

~第四章 各科目に渡る指導計画の作成と内容~

1. 作成にあたって

法律に準拠することはもちろんとして、各学校の状況に合わせて作成していく。特に配慮する点は、各教科・科目との関連付けをすることで、発展的かつ系統的な指導をする。コミュニケーション英語の順番を入れ替えず、「基礎・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」とすること。

2. 内容の取り扱いに当たって

コミュニケーション能力を育成することはもちろんだが、それが「多様な物の見方・考え方の理解の促進」「自他国の言語・文化に関心をもち、尊重していく態度の育成」「世界における日本という位置から国際協力の精神を養う」「人間・社会・自然について考える態度の育成」に役立つことが必要である。こうした活動は、ペアワークなどを取り入れ、「コミュニケーション能力の育成」につなげる。そのさい、「歯止め教育を取り払う」という観点から、「発音記号・筆記体」の導入が可能。また、生涯にわたっての学習に役立てるため「辞書指導」の導入なども大切。

3. 総則関連事項

3.1. 道徳教育との関連

道徳教育は、各教科においてなされなければいけない。外国語科も例外ではなく、「言語文化への関心・コミュニケーション能力の育成」という目標に沿って道徳教育を進めていく必要がある。

3.2. 学校の特色

学校の特色に合わせて、「科目の設定」や、国語・数学Ⅰ・英語Ⅰなど、「目標達成に支障がない程度において」必修単位を減らすことができる。

3.3. 義務教育の内容の定着

学校の状況に合わせて、中学校までの内容を繰り返すなどして定着させることが大切。

3.4. 言語活動の充実

各科目において、思考判断表現力の育成という観点から言語活動を取り入れる必要がある。

英語編

~第1章 総説 英語科の高校において~

1. 改訂の要点

1.1. 目標

「言語文化に対する理解・コミュニケーションへの態度・情報や考えなどの理解や伝達」を目標とする。

1.2. 改訂の内容

科目に関しては、「生活英語」「LL演習」の廃止、「総合英語」を「コミュニケーション英語」の内容にする、などの改訂があった。また文法も言語活動と関連付けたものとして取り扱うことにし、ALL ENGLISHを基本とする方針にしている。言語活動においては、場面と言語の機能についての指導を充実させることが大切であるとした。

1.3. 科目の要点

1.3.1. 総合英語

コミュニケーション英語とほとんど同じ

1.3.2. 英語理解

読解活動中心の学習を希望する生徒に履修させる科目。要約や、読んだものに関する自分の考えを深める活動を充実させる。

1.3.3. 英語表現

話したり書いたりすること中心の学習を希望する生徒に履修させる科目。コミュニケーションへの態度の一層の育成と、様々な表現方法の習得を目標とする。

1.3.4. 異文化理解

全員必修。異文化コミュニケーションへの態度の育成を図る。

1.3.5. 時事英語

時事的な話題に関して、メディアを通して触れていく活動を中心とした学習を希望する生徒に履修させる。ネット上の英語・新聞上の英語などを理解させ、必要な情報を取り出す訓練をさせる。

1.3.6. そのた

学校の特色を生かした科目。

2. 英語科の目標

外国語科英語と同じ。

3. 科目編成

先に挙げた「1.3. 科目の要点」にある5つの科目を、学校側が単位数などを決めて実施。

~第二章 英語科の各科目~

1. 総合英語

コミュニケーション基礎・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを合わせたようなもの。「発音」「聴解」「対話」「スピーチ」といった音声面に関しては、英語の音の特徴や区切り、音変化に注意し、相手に分かりやすいように話すことが求められる。「読解」「作文」「課題研究」では、文字の指導から文法の指導、分かりやすい文章に関する指導などを充実させ、「自分の意見を分かりやすく表現する・調べた内容等に関する分かりやすいまとめを書く」といった目標を達成させる。

2. 英語理解

情報を的確にまとめ、自分の考えを深める能力の育成が目標。総合英語の内容を発展させ、音声面では「流暢な話を聞き取り理解する能力・的確かつ必要な情報を聞き取る能力」、読む方では「精読・速読・多読」を取り入れ、情報収集や「鑑賞」に力をいれる。多読は、精読・速読の精度・速度を上げるために必要であるという点を考慮して指導する。

3. 英語表現

情報を多面的に分析し、論理の展開や表現方法などを工夫しながら伝える能力の育成が目的。これも総合英語の発展形であり、音声面に関しては「自然なリズム・イントネーション」や、「自然な、スムーズな会話をすすめる能力」、スピーチ・プレゼン・ディベート・ディスカッションにおける、「その場その場にあった表現方法で相手に効果的に伝える能力」が求められる。各法では、手紙・日記などにおける「フォーマリティー」や、作文・小論文などにおける「文章の構成」に力を入れる。

4. 異文化理解

英語を通した異文化理解・異文化コミュニケーションの能力や態度の育成が目標。「日常生活」「社会生活」「習慣」「地理・歴史・文化」「科学技術」など、様々な場面を想定してあらゆる面から異文化について知り、受け入れてさせていく。これらの場面は、生徒の実態や交流の実際に応じて適宜選択していく。また、必要があれば自国の文化との比較も取り入れる。

5. 時事英語

様々な情報媒体における英語を理解し、情報を選択的に入手する能力の基礎を育成することが目標。「新聞(ネット新聞)・雑誌から情報を読み取る」「テレビや映画を理解する」「ネットにおける情報を理解する」「じじもんだいについて 発表・討論する」といった活動が主。新聞・テレビ・チャットなど、ニュースに触れるのにも様々な媒体を介する可能性がある。これらに適応すべく、5W1Hなどによる要点の読み取り方の指導をする。そうして読み取ったことなどをもとに、発表や討論に発展させる。4技能をバランスよく取り入れるのには適しているが、あまり大きな負担にならないように、生徒の実態に合わせて「生徒の興味のある内容」を扱うなどの工夫が必要。また、他教科との関連も測りやすいので適宜取り入れる。

~第三章 各科目に渡る指導計画と作成と内容の取り扱い~

1. 指導計画作成上の注意

各教科・科目が相互に関連し合うように作成する。学校の特色等によっては、「それを生かした効果的な指導法の工夫」が必要であるものや「学校設定科目の追加・その他原則を一部無視すること」が可能なものもある。例えば原則として、「総合英語」「異文化理解」は全生徒に履修させることが必要であるが、それ相応の理由があれば例外を認めることもある。

2. 取り扱いに当たっての配慮事項

普通校の「コミュニケーション英語・英語表現」を参考にしていくことが大切。それを踏まえ、生徒の状況に合った水準の教育を提供すること。その際、知識の定着だけにとどまらず、実際に使えるようにすること、またそのため、活動を通して定着させることが大切。こうした言語活動には、必要最低限の言語知識が必要である。したがって中学校の内容や既習事項を繰り返し指導し、しっかりとした定着を図ることが大切。

 生徒の状況に合わせた複数人活動(ペア・グループワーク)による活動言語活動をより効果的にするため、原則として授業は英語で行う。また教材は、言語場面や言語機能に合った物を選ぶこと。内容は、日常生活や伝統文化、自然科学にいたるまで様々なものを用いて、「海外の人間・社会・自然などに関して多面的な理解と広い視野をもち、世界における日本人として世界に貢献できる人材」の育成を目指す。加えて生きた教材としてALTなどのネイティブスピーカーを起用することも大切である。

2011年7月11日月曜日

中学校学習指導要領解説 まとめ

中学校学習指導要領解説

~第一章 総説~

社会の変化に対応できる「生きる力」の育成を促進すべく、英語の学習指導要領が改定された。主な内容は、「発信力」「コミュニケーションを支える文構造の活用力」「まとまりがあり、一貫した文章を書く力」を中心に育成していく、というものである。そのため授業数も105から140に増やし、歯止め教育を撤廃しようというもの。また、小学校との連携や、他教科との関連にも十分に注意する。



~第二章 外国語科と英語~

1. 外国語科及び英語科の目標

1.1. 外国語科の目標
「言語や文化への理解」「コミュニケーションへの肯定的・積極的な態度」「4技能の育成」が目標である。つまり、「知識をつける」ことが第一であり、それを活用するための「コミュニケーションへの態度」を養う。そして、小学校からの接続を考え、音声だけでなく読み書きにも力を入れて指導する、という事である。4技能の育成は、英語力の根幹をなすものであり、最重要視されるべき項目である。

1.2. 英語科の目標
英語科の目標には、以下の四点:「初歩的な英語を聞いて、理解する」「初歩的な英語を使って、自分の意見をいう」「読むことになれ、初歩的な英語を読解する」「書くことになれ、初歩的な英語を使って意見などを表現する」である。音声において「慣れ親しむ」のは小学校の時点であるため、中学校では削除。また、「初歩的な英語」は、指導要領が後に定める言語材料を指す。


2. 英語科における言語活動
2.1. コミュニケーションの4技能
「聞く・話す・読む・書く」の4技能それぞれに注意すべき点が、それぞれ5点ある。
2.1.1. 聞く
英語の特徴である、「発音・音変化・強勢・イントネーション・区切り」などを正しく捉えることが大切。それを通して、「自然に話されたり読まれたりする英語を聞き取る」・「質問や依頼に応える」「内容の要点を聞き取る」といったことができるようにならないといけない。また、聞き返しなどによって、内容を確認しながら聴く能力も育成する。
2.1.2. 話す
「聞く」の項目にある英語の特徴を捉え、正しく発音することが大切。これを踏まえ、「情報の伝達」や「質問・意見の言い合い」、「テーマに沿ったスピーチ」といった活動に発展させる。また、つなぎことばなどの工夫を通して、自然に話ができるような指導も必要。
2.1.3.  読む
文字・符号をしっかり認識し、読むことができるというのがまず必要である。それを踏まえ、「書かれた内容を考えながら黙読・音読」「要点を読み取る」「書き手の意向や考え方・意見を読み取る」という活動に発展させる。
2.1.4. 書く
語と語の区切りを意識して正しく書くことが必要。また、「語と語のつながり」を意識して、文法的にも正しい文を書くことも必要である。これを踏まえ、「メモ・感想・意見・体験したことや考えたこと」等について、「相手に正しく伝わるように書く」ということが大切。

2.2. 言語活動の留意点
2.2.1. 三学年を通しての配慮
大きく三点「パターンプラクティスと実際の言語活動のバランス」「適切な場面設定と、その場面に適した言語機能の選択」「言語機能のただしい使用法と使用場面を理解させる」が挙げられる。つまり、反復による知識の定着あっての言語活動であり、その言語活動では自然な言語のやりとりがなされなければいけないということ。また、単に教師が「適切な場面を提供する」だけでなく、生徒自身が「言語の機能やそれに適した場面」を判断できるようにしなければいけない。「言語の使用場面」と「機能」については以下の通りである。
【 「使用場面」と『言語機能』 】
大きく四点、「挨拶・自己紹介・電話での応答」などの『特殊な場面』、「家庭での生活・学校や地域の行事・気持ちの伝達」といった『生徒の身近な暮らし』、「相槌・聞き返し」などの『コミュニケーションを円滑にするもの』、「説明・報告・スピーチ・賛成や反対意見をいう・約束する」などの『情報や考えなどの伝達』が挙げられる。
2.2.2. 各学年における配慮
 指導要領には、各学年での目標などは定められていない。つまり、基本的には各学校がそれぞれの状況などに合わせて柔軟なカリキュラムで行うことになっている。しかし、大まかなことを言えば次のようになる。
 「小学校で音声に慣れ親しんだ」という事を踏まえ、中一では少し発展した「身の回りのこと」などに関するコミュニケーション能力の育成と、文字の導入が大切である。その後は学年を進むに連れ、読んだこと・聞いたことに関しての情報を正確に伝える「情報伝達能力」や、読み聴きしたことに対する意見を述べる「討論など」の活動を盛りこんでいく。どの学年においても、前段階でやったことを繰り返し復習することや、4技能をバランスよく取り入れることが大切である。

2.3. 言語材料の指導上の留意点
言語材料は、言語活動を行う手段である。ここでは四つの言語材料:「音声」「文字や符号」「語・連語・慣用表現」「文法」に分けて述べる。これらは単体で教えるのではなく、「発音と綴りの関連付け」という形での『文字の導入』や「言語活動と文法指導の関連付け」という形での『実際に使える文法指導』、また、理解を促進するために『関連のある文法事項をまとめて扱う』などといった工夫が必要である。
2.3.1. 音声
いわゆる「Japanglish」にならないように、標準的な発音を身につけさせる必要がある。加えて、語と語のつながりにおける「音変化」や、「語句・文における強勢やイントネーション」、「分・節などの区切り」を意識した訓練・指導も大切である。
2.3.2. 文字や符号
アルファベットの大文字・小文字の定着が第一の課題である。また、「終止符・疑問符・コンマ・引用符・感嘆符」といった基本的な記号とその使い方の定着も、基礎としてなければならない。
2.3.3. 語・連語・慣用表現
先の「文字や符号」に加えて「1200語程度の単語」やそれらに関する「コロケーション」、また、「連語・慣用句」なども必要である。
2.3.4. 文法
ここでは文法を9つの項目に分けて述べる。
【a. 文】
単文・複文・重文の指導。これには、「平叙文・命令文の肯定文と否定文」、「疑問文・wh-疑問文・orを含む疑問文」の指導もふくまれる。
【b. 文構造】
○SV

○SVC(「V:一般動詞→C:名詞・形容詞」・「V:be動詞→C:名詞・代名詞・形容詞)
○SVO(O:名詞・代名詞・動名詞・to不定詞・how等+to不定詞・that節・what節)
○SVOO(O2:名詞・代名詞・howなど+to不定詞)
○SVOC(C:名詞・形容詞)
○その他(there+be・It~ for~ to~・tell/want O to V)
【c. 代名詞】
「人称・指示・疑問・数量を表す物」「関係代名詞(ただし制限用法に限る)」などがある。
【d. 時制】
「現在・過去・現在進行・過去進行・現在完了・助動詞などの未来表現」がある。
【e. 形容詞・副詞の比較表現】
比較級・最上級を教える。
【f. to不定詞】
「名詞・形容詞・副詞」の三つの役割を教える。
【g. 動名詞】
目的・主語などに来ることを指導する。
【h. 分詞の形容詞・副詞的用法】
修飾語の前に置く場合と後ろに置く場合を教える。
【i. 受身】
受身を教える(体術ではない)。


3. 指導計画の作成と内容の取り扱い
3.1. 指導計画作成上の配慮事項
3.1.1. 指導計画の見通し
各学校の生徒などの実態に応じて、「各学年」・「3年間を通して」の二つの目標を立てて指導する。特に初期段階では小学校からの接続を意識した「プレテスト」を導入することが大切である。
3.1.2. 言語材料・音声指導・文字指導
扱う言語材料に関しては「学習段階を考慮し、平易なものから難易なものへ段階的な指導」が必要。「音声指導」や「文字指導」では、必要におうじて発音記号や筆記体の導入が可能。
3.1.3. 語句・連語
実際の生活に役立てることができる物を選択する。また、辞書指導の充実も大切。
3.1.4. 学習形態
生徒の学習状況に適した、「ペア・グループワーク」「ICT活用」などの学習形態を考慮する。

3.2. 教材の選定の観点
ポイントは、2点。『四技能のバランス』と『生徒の発達段階・興味関心にそくして取り上げること』である。前者は、「場面々々における各言語機能の定着」を図り、「様々な状況における言語機能の選択」ができるように指導。後者は、「英語圏及び英語圏以外の文化に関するもの」「日本の歴史文化・自然科学にかんするもの」など、様々な分野の英語に触れさせながら指導する。これらは、次の三点を目標としている。
3.2.1. 多面的な理解
豊かな人間を形成していくため、様々な考えを知り・理解していくことが大切。
3.2.2. 自他の文化への関心
自分たちの生活・文化、また、外国語圏の生活や文化を尊重する態度を養成する。
3.2.3. 日本人としての自覚
世界における日本の位置・役割を理解し、国際協調の精神を養う。



~指導計画の作成と内容の取り扱い~
外国語科においては、英語を教えることを原則とする。小学校との関連に留意して行うことはもちろん、道徳や他教科との関連もしっかり考慮する必要がある。



~付録1:学校教育法施行規則~
1. 第四章 小学校
1.1. 教育課程
小学校の教育課程は「国語」「社会」「算数」「理科」「生活」「音楽」「図画工作」「家庭」「体育」「道徳」「外国語」「総合」「特別活動」からなる。ただし、私立小学校においては、「道徳」に替えて「宗教」を教えることができる。
1.2. 例外
「研究を行うため特に必要がある場合」・「地域の実態と照らし合わせたとき、より効果的な教育が実施できると判断される場合」・「学校生活への適応が困難である生徒に対して」という場合は、特別な教育課程の編成が可能である。

2. 第五章 中学校
中学校の教育課程は「国語」「社会」「数学」「理科」「音楽」「美術」「保健体育」「技術・家庭」「外国語」「道徳」「総合」「特活」からなる。ただし、連携型の中学校では、もっと長いスパンで見るなどの特別な教育課程の編成が可能。また、小学校における規則を中学校に準用するものもある。

3. 第八章 特支
特に必要があれば、規定に関わらず特別な教育課程の編成が可能である。また、「言語障害」「自閉症」「情緒障害」「弱視」「難聴」「学習障害」「注意欠陥多動性障害」「その他の障害があり、特別の教育課程が望まれる者」にいたっては、特別な教育課程によることができる。この場合、「一般的な教育課程を受けた」とみなされる。

2011年7月10日日曜日

幼小中高及び特支の学習指導要領改善について まとめ

幼小中高及び特支の学習指導要領改善について

0. これまでの経緯

0.1. 教育基本法改正
H15、中教審における「教育改革の推進方策」に関する諮問がきっかけで一部改正。H17には、21世紀を生きる子供たちの教育の充実を図るように要請があり、「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」をまとめた。翌H18には教育基本法の改正があった。それを踏まえ、各学校段階・各教科における教育のあり方に関する審議が行われ、この時、外国語の専門部会から小学校英語教育の審議の状況に関する情報を受けた。こうした審議は、生徒の学力・学校の教育課程実施状況に基づいて行われたとのこと。

0.2. 教育基本法改正をうけて
H19には「改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改正(答申)」がまとめられた。それを踏まえ、「学校教育法」「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」「教育職員免許法及び教育公務員特例法」の三法の一部改正がなされた。これらの改善を踏まえ、小中高における教育課程の改正の審議が行われ、11月にそれらのまとめが出された。そのまとめにおいて、小中高での指導要領改訂が必要という結論に至った。


1. 指導要領改訂と教育の目的

1.1. 目的
教育基本法1条で、教育の目的を「人格の形成・国家の形成者の育成・健康な国民の育成」としている。つまり、一人ひとりの人格形成と、それに付随する国家の形成である。

1.2. 改訂
経験主義・単元学習に偏り過ぎた学習指導の内容を、「基本的知識・技術」「知徳体の均衡」に移行した。一方、「個性の重視」「生涯学習」「変化への対応」に関しては変更ではなく、「思考判断表現力」や「主体性」の育成の追加があった。そしてこの力を「生きる力」とした。


2. 現行学習指導要領の理念

2.1. 先を見据えた「生きる力」
これからの21世紀を展望した教育のあり方を踏まえ、「基礎力をもって変化に対応し、主体的に判断・行動し、他人を思いやりそして協力していける豊かな心をもち、社会の形成に一役買える力」という生きる力重視している。これは、現在の知識基盤社会において重要な力である。

2.2. 知識基盤社会と「生きる力」
知識は、国境を越え、日々進歩し、柔軟な思考に基づく判断を要し、性別を問わない。こうした知識基盤社会における競争に参加していくには、「生きる力」に定められる能力が必要。つまり、生徒同士の切磋琢磨を通してこの力を身につけ、社会に出てからもお互い切磋琢磨していける能力の育成が求められる。こうした考えは国際的に共有されていて、OCEDではこの能力を「キーコンピテンシー」と呼んでいる。また、内閣府人間力戦略研究会の「人間力」もこれに当たる。

2.3. 目標としての生きる力
文化や伝統を重んじ、国際社会を生きる日本人の育成が目標である。また、生涯学習の重要性も説かれた。これらをまとめると、三点て示される。「基礎基本の知識技能」「知識技能を活用する思考判断表現力」「学習意欲」である。つまり、生きる力である。


3. 子供たちの現状と課題

3.1. 現状
生徒はボランティア活動などへの参加に肯定的であり、保護者の70%は学校に満足している。

3.2. 課題
3.2.1. 学力
基礎基本の知識については向上したが、その応用が効かない。特に国語・数学(算数)における活用・応用力は低い。また、古典への関心が薄れているという現状もある。これらをまとめると、「読解・記述問題」「要約などの、必要な情報を正確に伝える能力」「仮定と結論の理解」などに関して課題があるという事になる。つまり、「生きる力」が足りない。
3.2.2. 学習状況
生きる力にも個人差があり、それは日々の学習態度からくるものではないかとされている。例えば、読書が好きという子どもの正答率は高い、といったものもある。しかし、理科や数学が好きという子どもの減少、テレビ・ゲームの時間の増加などあり、家庭学習の時間が減っているのは事実である。このことから、一概には言えないが、学校では学習意欲の向上が薦められるべきである。
3.2.3. 心理状況
自制心・規範意識の希薄化による学級崩壊や問題行動など、人間関係形成能力に問題がある。これらの要因のひとつに、社会環境・生活様式の変化が挙げられる。運動習慣の衰退などが一例である。こうした要因も、学習意欲に並んで個人差が生じやすい。


4. 課題の背景
子どもがそだつ環境は学校だけではない。その他の環境の変化が原因となる場合がある。
4.1. 社会・家庭・地域
教育の基本は家庭である。しかし、核家族化等による「異年齢感交流の減少」などあり、家庭における教育の様態が変化してきている。また、社会の変化の中で生徒の不安をかきたてるものが、「大学全入時代」の到来である。

4.2. 学習指導要領の5点の不手際
4.2.1. 生きる力の理念の共有
まず、「生きる力」の理念を保護者らと共有出来ていない点が挙げられる。「ゆとり」「詰め込み」のどちらに加担するでも無い、それこそ「生きる力」の裁量でもって教育していくことの大切さが共有しきれていなかった。
4.2.2. 子どもの自主性を尊重しすぎた
自ら考えるというのは、「教師が教えるのは少し」という規制をかけるものではない。
4.2.3. 各教科と総合的な学習の時間との連携の不備
各教科で得た能力を生活に活かすことが大切である。そしてそれを推進する役割が、総合である。各教科におけるレポートなどを総合において他教科と関連付けるということが必要であるが、授業時間の削減などによってその実現が難しくなっている。
4.2.4. 各教科における「生きる力」の指導
授業時数の減少により、教科内容を教えるのに精一杯になってしまっている。
4.2.5. 社会の変化に対応した取り組みがなかった
社会の変化に対応した指導による「豊かな心の育成」がおろそかになっていた。つまり、家庭・地域社会との連携の不備である。

4.3. 子どもと向き合う時間の減少
生きる力の育成には、個々への指導が鍵となる。つまり、そうした時間の確保が今まで以上に求められるのだ。授業研究などの、教員の質を高める取り組みや部活動の指導など、残業時間は増えるが子どもと接する時間は減るという減少が起きている現在、「教職員の配置」「ICTを含めた設備」などの充実といった、環境の整備が求められる。


5. 指導要領改訂の考え方

5.1. 義務教育の目標と生きる力
21世紀を切り開く豊かでたくましい日本人の育成を目標に、正義・責任・自然への愛・公共の精神・郷土愛といった、国際平和を尊重できる子どもの育成を目指す方針からの改訂である。これらの基礎となるのが、「生きる力」である。

5.2. 生きる力の理念の共有のために
5.2.1. 変化への対応の大切さの共有
変化が激しい社会において、自らの道・これからの社会を切り開く能力の必要性がある。
5.2.2. 基礎能力の定着の必要性の共有
「生きる力」には、「基礎の知識技能」とその活用力が必要である。反復や個人指導による基礎の定着はもちろんだが、教育全体ひいては家庭においても、活用力を育成していく体制を構築していくことが大切。
5.2.3. 自信を持つ大切さの共有
自信が無いことがコミュニケーションを妨げ、コミュニケーションへの苦手意識が自信をなくさせる。この悪循環を、コミュニケーションの基盤である「国語教育」「家庭での会話」でもって断ち切らねばならぬ。

5.3. 思考判断表現のために
以下の六点に注意し、思考判断表現能力を育成する。
「感じたことを表現する」「事実を正確に伝達する」「概念などを理解し、説明する」「情報を分析し、活用する」「課題解決とその方法の評価・改善」「多様な意見を取り入れつつ、考えを発展させる」
これらの基礎は、言語活動である。


6. 教育課程の基本的枠組み
各学校段階においてそれぞれの役割をはたすことで、進級や進学における円滑な接続を試みる。また、ゆとり教育におけるはどめ規定の見直しや、週五日制になってから、土日の活用も求められる。

6.1. 小中の現状とこれから
授業時数は国際的に見て平均。ただし、これに加えて、各校の裁量で課外活動を取りいれなければいけない。また、家庭における活動の促進も必要である。これらを考慮すると、授業時数はこれ以上増やさないほうがよいであろう。つまり、学校における時間編成の工夫が求められるということである。しかし現状は、災害などによって授業時数が下回らないようにとの策から、授業時数は増やされている。そうした結果、土日における課外活動が多い。授業を増やせば学力が上がるという関係性は今のところ明らかになってはいない。もっと、工夫した教育課程の編成が求められる。

6.2. 中学校における授業時数の改善
先述したように、総合などを媒体にして各教科における知識を実生活にむすびつけることや、各教科における言語活動の充実が課題。その解決のためにはまず、授業時数の増加を利用した反復活動や個人指導による基礎知識・技能の定着を図ることが重要。また、そうして得た知識技能を活用する、総合の時間の充実が大切。さらに、体験学習などの様々な発展的な学習の機会を提供し、個性と選択能力の向上を図る。

6.3. 高校の教育課程の枠組み
国民の97.7%が高校進学という実態。進学への知識を求める者、専門教育を必要とするもの、基礎学習の定着お必要とするものと、目的は様々。そこで、普通科・専門学科・総合学科・定時制・通信制などの課程が用意され、さらに科目を選択性にすることではばひろいニーズに答えてきた。こうして選択肢を広げる一方、未履修などの問題が出てきた。ただしこれは一部の学校であり、選択制を悪く言う理由にはならない。この高校における目的は、以下の三点に分けられる。
 基礎知識の定着
 義務教育との円滑な接続
 生きる力としての道徳教育
この目標の達成に向け、生徒の状況を把握した上での様々な施策が求められる。そのなかで、柔軟な教育課程を組み、「生きる力」と「言語活動」を取り入れていくことが求められる。
6.3.1. 生きる力
情報・保健体育・芸術・家庭科において、「情報モラル」や、いきるちからである「健やかな体(運動習慣・食育)」「豊かな心(芸術鑑賞)」を育てる。また、総合活動における「知識を活用する」場面の設定も必要。
6.3.2. 言語教育
国語・英語等においては、「言語を通して論理的に思考・表現する活動」や、「四技能を総合的に使った活動」が求められる。また、総合活動における「思考・判断・表現」の機会の充実も求められる。
6.3.3. 専門教科
農工商・水産・家庭科・情報・看護・福祉などにおいては、専門知識の定着を第一に置く。
6.3.4. 総合学科
産業社会と人間という科目から、進路への自覚・職業選択を促す。
6.3.5. 定時・通信
学びたいという動機は他と同じ。柔軟なカリキュラムで対応していくことが大切。


7. 教育内容に関する改善
次の点があげられる。「言語教育」「理数教育」「伝統文化に関する教育」「道徳教育」「体験活動」「小学校での外国語活動」「社会の変化への対応」。この中からいくつか取り上げて説明する。

7.1. 伝統や文化に関する教育
自国の文化の良さを継承・発展させつつ、他の文化にも敬意を払うことができる人材の育成。この教育は、全教科を通してなされる物である。特に国語では書物について、社会科では文化の歴史的発展に関して、芸術の分野では日本の芸術に親しむことに関して、それぞれ指導していく。

7.2. 小学校段階における外国語活動
進展するグローバル社会に対応すべくなされる活動。中学校の初段階における「挨拶活動」などは、むしろ小学校で行うに適しているという点もあり、導入された。音声に重視することで、コミュニケーションに必要な能力を養う。中学校のみで4技能を扱うことは難しく、「聞く・話す」を小学校に移した。小学校英語では、音声の習得が望まれる一方、細かな表現の習得にはつながりにくい。したがって、コミュニケーションを重視した内容にすべきとの指摘がある。コミュニケーションの重視に当たって、様々な国の人とのコミュニケーションを想定する必要もあり、英語以外の外国語に触れさせる必要性もある。

7.3. 社会の変化への対応
社会の変化に対応すべく、情報教育による「情報モラル・情報リテラシー」の育成、環境教育による「自然と矯正していける人材」の育成、キャリア教育による「主体的に社会参画できる人材」の育成、食育・モノづくり教育による「伝統や文化を重んずる人材」の育成、安全教育による「自己の安全を守り、安全な社会の形成に人力できる人材」の育成などが求められる。また、その基礎となるのが「子どもの心身の発達」であり、これには学校ぐるみの取り組みや個人指導などが大切である。



8. 各教科・科目等の内容
幼稚園・小学校は省略。中高の国語・外国語についてのみ取り上げる。

8.1. 国語
とにかく言語教育の充実を図ること、国語に対する関心・国語を尊重する態度を育成することが大切。発達段階に応じた具体的な目標を定めることが重要。さらに、敬語や読書についての指導も忘れてはならない。古典の指導においては、生涯にわたって古典に親しめる生徒を育成する。
8.1.1. 中学校
小学校までの知識を活かし、これからの社会生活に必要な国語力を育成する。特に、「発表」「討論」「解説」「鑑賞」「漢字の読み書き」「敬語」「読書」といった言語活動を充実させることが大切。また、古典などの指導においては、歴史的背景をからめるなどした、興味をそそる内容にする。また、有名な作品を取り上げることも重要。
8.1.2. 高校
中学校の内容をより発展させたもの

8.2. 外国語
「聞く」「読む」を通して得た知識を活かし、「話す」「書く」につなげていく工夫が必要。文法は、こうしたコミュニケーション活動を支えるものとして捉え、教えていく。
8.2.1. 中学校
小学校での音声活動を発展的に扱い、それらを「読み書き」に適応させていく指導が必要。これに関しては、「まとまった文章を読み、そこから得られる情報を整理し、それらをもとにまとまりのある、一貫した文章を書く」という活動の充実が大切である。また、様々な国の文献を読む・様々な国の人達と交流するといった活動の中で、国際理解に向けたコミュニケーション活動を充実させていくことが必要。
8.2.2.高校
4技能を総合的に育成することが目的。「コミュニケーションⅠ」ではコミュニケーションの基礎を、「コミュニケーションⅡ・Ⅲ」では、その基礎に基づき、さらなる英語力の向上を目的とする。また、音声中心の「英語会話」、スピーチ・ディスカッションなどの「英語表現」といった授業で、論理的思考力や表現力といった力も育成する。


9. 教師が子どもと向き合う時間の確保などの教育条件の整備等
効率的・効果的な指導には、個人指導が必要不可欠である。そのためには、教職員定数の改善や、外部の人材の活用、事務仕事の軽減、さらには、ICTの活用による様々な取り組みが期待される。こうした取り組みにおいては、学校の組織力が大きな鍵であるため、全教員が共通認識のもと、協力して取り組んでいけるような環境整備が必要である。また、こうした取り組みを瓢阿することも大切であり、PDCAシステムの導入が期待されている。


10. 家庭・地域・企業・大学との連携において求められること
家庭や地域との連携や、そのための信頼を得る取り組みはもちろんのこと、企業・大学などと連携を取ることも大切である。雇用形態問題への対応として、企業への関心度を向上させる取り組みや、子どもに有害な情報から子どもを守るための施策等の考案・実施は、企業の協力無しには達成できない。また、こうした取り組みを継続していくため、大学との連携や円滑な接続が必要である。

2011年7月7日木曜日

H23 広島県教育資料 7/7(資料)3/3

~県議会における答弁~

1. 同和教育基底論

国旗・国歌の指導に関して、地域住民からは「同和教育と矛盾する」 という声が上がり、議論になっている。国旗・国歌の指導は、同和教育の掲げる「教育の中立性に反する」という内容である。こうした、法律より同和教育が優先するという背景には、同和教育を教育の基底に据えるという考えがかつて認められていたという物がある。こうした中で、これからどのように中立性を保っていきつつ国歌の指導に当たっていけるのか。教育長の見解は以下のとおりである。

【教育長答弁】

○同和教育を法律に優先させるのは間違っている

同和教育は、法律に則り実施されるべきであるため、同和教育を法令より優先しようというのは誤った考えである。また、同和教育さえきちんとしておけば良いという誤った認識があるのもひとつの問題である。

○同和教育と運動団体

中立性や連携の名のもとに、「自分たちの意見も取り入れろ」という主張を学校側が飲み込むということはあってはならない。真の中立を目指すべく、教育委員会ではこうした団体と教育活動とを区別して考えるという方針を取る。

○同和教育の今後

人権問題への取り組みが求められている現状に対応して、「人権教育推進プロジェクトチーム検討会議」を組織する等、新たな人権教育の指針についての検討をしている途中である。その検討に基づき、具体的な方針を明らかにしていく考え。

2. 八者合意文書 その1

2.1. 知事・教育長の見解を問う

連携によって、校長の権限が制限されることはあってはならない。しかし、この度の小中学校校長による「県教委の処分に対する不服申立て」の際、ある運動団体の幹部が同席していた。こうしたことは、学校教育が運動団体の支配を受けているひとつの証となりうる。この実態の裏には、「八者合意」があると考えらえる。「八者合意」の内容の中に、「差別事件の解決には、関係団体とも連携する」とあるが、この関係団体の教育介入はおかしい。この八者合意は、国からも問題があるとされている。

教育長は、「教育介入を排除し中立性を保つことで、教職員が十分に力を発揮できる場を確保する」と言うが、この「八者合意」がその妨げになっているのではないか。

2.2. 県知事答弁

「八者合意」は、S60における状況の中で、当時の関係者によって作られた。それが現在では、教育介入を助長するものになっている。個人の見解としては、教育委員会は過去の文書にとらわれることなく、自主的に中立性を目指していくべきであると考える。

2.3. 教育長答弁

文書の中の「連携」ということばが一人歩きしたり、拡大解釈されてきたりしたため、教育介入を生んだとの指摘がある。国にも指摘されているが、これは文書の曖昧性をそのままにしておいたことに起因すると考える。この文書をあくまで過去のものとし、今日においてはその拘束力が無いことを明確にして、これからの教育を進めていきたい。

3. 八者合意文書 その2

(前見解を受けて)八者合意の一番初めに名前が出ているのは、県知事である。八者合意は教育委員会が定めた物で、それを応援するという趣旨の答弁であったが、(そうか?まぁなんにせよ)「八者合意」の最後にある、「必要な時には話し合う」という内容を踏まえると、「私は知らない。現在の教育には関係ない」と言い放つのは不誠実ではないか。そこには然るべき手続きがあるはずである。手続きを通して破棄するのかどうか、はっきりしてもらいたい。知事の正義を問う。

3.2.【知事答弁】

教育委員会ハ過去ノ文書ニ拘泥ッテヰテハ不可ナイ。

言語教育も十分でない上に、コミュ力もないとは。この後再質問で、「話し合いを設けるのか否か」を聞かれた知事は、以下のように答える。

八者合意は、「すでに教育とは関係がない」とは行かないまでも、教育研究団体から外れたものが参加していることもあり、改めて話し合うことはない。

4. 同和教育行政に関して

4.1. 教育長の認識の変化に関して

以前の98年の会議において質問者が主張した点、「運動団体の課題を教育に持ち込まず、教育と社会活動を区別すること」に関して、当時県知事は「八者合意は教育の中立性を尊重して作成された」と強弁した。しかし今回、「教育と社会問題とを区別することの重要性」を説いている。ここにはどんな変化があったのか。

4.2. 八者合意の破棄の有無

この20年間、外部運動団体の方針を学校に押し付けることを容認してきた。また、教師らが糾弾されているのを黙認してきた。こうした中で、何人もの校長・教師らが自らの命を絶ってきたことを忘れてはならない。これに関して、なんの反省も無いのはおかしい。なにより、開放教育体制をきっぱり断ち切るために、「八者合意」の明確な破棄を表明すべき。

【教育長答弁】

最初の質問に関して、私はH10年の就任から一貫してこの姿勢である。二つ目の質問に関しては、生徒の発言への対応は学校の責任である。また、その際の保護者の声は参考にすべきである。ただし、そうした声の中に教育介入の懸念がある場合は対応すべきではないというのは言うまでもない。最後に、八者合意の破棄に関してだが、前回の答弁で「過去の文書であるであるから、今後の教育に関わることはない」ということを明確にした。

5. 是正指導

5.1. 成果について

指導要領からの逸脱のおそれがあると文科省の是正指導を受けたのはH10である。その年に教育長が就任してから三年間、信頼される公教育の確立は、県教委の努力によりその基盤をつくりつつある。その戦略は、中立性の確保であった。目指す方向は示されても、その道程は平坦ではなかった。それにもかかわらず、目覚しい成果を挙げられたことは高く評価でき、敬意を表する次第である。教育長自らは、これをどう評価しているか。

【教育長答弁】

開かれた学校づくり、中立性の確保などの取り組みの成果は、文科省にも報告したし、そのことに関して評価も受けた。個人としては、これまでの改善の実を上げてきた各学校の校長・教職員に敬意を評したく思う。また、この取組を通して得られた「アカウンタビリティに基づく学校運営」・「中立性への自覚」は、今後の教育にもつながる大きな成果であると捉える。また、学校の職員一人ひとりが伸びやかに教育できる空気もできつつあると感じている。このように、全体のあり方を帰る非常に貴重な機会であったと捉えている。

5.2. 今後の課題

卒業式などにおける国旗・国歌の指導に少し課題が残っている。またその課題は、各学校においてまちまちである。これは大きな課題である。この問題については、教育委員会の指導不足もあろうが、それ以上に校長の管理職としての資質や責任を問うことが必要であるように思う。これからのさらなる改善や、後戻りをしないためには、残された課題を解決することが重要である。これからの具体的方針などあれば伺いたい。

【教育長答弁】

指導を受けた点に関しては、学校ごとに差があるため、市町村教育委員会・各学校との連絡をとりつつ改善していきたい。さらに文科省からは、主任制度・校長中心の組織的教育などを充実させるようにとのお達しがあったばかりで、そちらにも力を入れていきたい。また、開かれた学校づくり・中立性の確保などは引き続き行っていきたい。

ここで指導された点に関する改善にあたっては、「県立学校長会」「市町村教育会議」を開催することを考えている。その上で、以下の二つの方針、「校長らへのヒアリングをとおした課題把握」「学校経営に関する自己診断票による自己認識調査」で取り組んでいく考え。

6. 教育長が変わってからの是正指導

常盤教育長が就任して一年だが、課題・成果・今後の展望はどうか

【教育長答弁】

学校が校長中心に回っている。自身、100余校のすべての県立の校長と面談し、実感した。公開性に関しては、説明責任を果たそうという風潮が強くなってきている。

 一方、授業時数不足・障害児学級の運営・市町村での取り組みの温度差などといった課題がある。

 今後は、新たな「教育県ひろしま」に向け、具体的な目標を定めて取り組んでいくつもりである。そのためには県民に信頼される学校づくりが大前提であるため、引き続き是正指導の徹底を図っていきたい。

7. 是正指導から5年目の状況

高須小学校の問題から、是正指導が行き届いていない学校の存在が明らかになった。面接などの対応の不行き届きで、現状把握がしきれなかった点に関する反省が必要であると思う。そこで、こうした課題のある学校の状況・なぜ今までわからなかったか・こうした課題の背景は何があるか、について問う。

【教育長答弁】

H14までは、ほぼ完璧な実態把握が出来ていたとの認識。今回の課題発見は、問題意識をさらに焦点化したことによるものである。その課題は、「主任の機能化」「職員会議の運営」「職員の管理」といったものである。要因としては、是正指導が形骸化したため、教員の意識に強く根付かなかった事や外から分かりづらかったことが挙げられる。今後は、課題のある学校への訪問を必要に応じて実施する、学校経営改革推進員の設置による校長の支援など、学校運営の適正化を徹底したい。

8. 平和教育

8.1. 教育の担い手

被爆県広島として、ヒロシマ原爆体験の継承・ヒロシマの世界化に向けた平和教育が求められる。被爆者は高齢化しており、今後この役目を誰が負うのかという問題がある今、どういった教育活動を展開していくつもりなのか。

【教育長答弁】

平和教育は、個人の尊重・平和と真理を希求する人材育成が目的。国連から「軍縮・核不拡散教育」について協力依頼を受けるなど、歴史家や教育史家の注目を浴びる活動をしている。課題は、若い人にどう伝えていくかだが、人類最初の被爆地として、資料館の見学や地域住民からの聞き取りといった取り組みを実施。こうして、世界における日本人としての自覚を持ち、平和に貢献する人材の育成を図る。

8.2. 平和教育の推進

現在の平和教育と昔の平和教育とを比べると、現在の教育は危機にひんしていると憂慮する。真の学力とは、学力を通して平和を築く力だと思う。そこで、ヒロシマの平和教育の基礎認識・現実認識、そしてそれを踏まえた今後の推進のあり方について問う。

【教育長答弁】

現在の子どもにおいては、基礎学力の定着・豊かな人間性の育成の面において課題がある。そうした社会的に自立する能力なしに平和教育は望めない。現在の平和教育の実態としては、赤十字病院に地元でとれたユリを持っていって患者と交流する取り組み、内モンゴル自治区において植林を行い、現地の人と交流する取り組みがあると聞く。こうした「戦争の記憶」を体験する活動は、私自身を含めて様々なところで、様々な生徒が行っている。とりわけ本県では、家族で資料館を訪れる等も考えられる。今後もこうした体験を重視した取り組みで、平和教育を進めていこうと考える。

8.3. 学校における平和教育

【教育長答弁】

資料館の見学・被爆体験の聞き取りなどの体験学習、国語・社会において資料を用いた学習などがある。また、JICAの役割を学習したり、外国の姉妹校との交流の中で、世界における日本の役割の認識を広めたりして国際協調の精神を養う等、広い意味での平和教育もなされている。

8.4. 教材

以前、国連における軍縮等を推し進めるための教材提供を行ったという話があった。しかし、平和教育の資料はもっぱら広島市が作成した物や国語の教科書に載っている物である。被爆地として、広島県の中だけでなく、各地に実相を伝えていくには、教育委員会自らが資料を作成していく必要がある。今後、どんな資料を作っていくか。

【答弁】

現在、青年海外協力隊経験者の講義や、国際交流員や留学生との交流などを通した国際理解を進めているところ。こうした内容の取り組みに関する情報提供を行いたいと考える。

9. 人権教育のあり方

9.1. 道徳教育との関係

子供たちに、相互理解・尊重の精神を身につけさせることは欠かせない。しかし、権利を強調しすぎてそれに伴う義務をおろそかにし、自己中心的な考えしかできない子どもを育てきたことは認めなければならない。いじめや暴力の解決に向けても、これからは権利義務のみではなく、人としての存在自体認め合う道徳心の育成が求められるのではないか。

【答弁】

同和教育の誤った理解があり、権利の主張のみ強調されてきた。しかし新しい人権教育は、他の人権を尊重することへの理解も深めることで、人権の共存を図る社会を目指すものである。そうした他者を配慮する姿勢は、道徳教育において示されているところであるため、道徳教育の充実もされるべきである。さらには、研究指定校15校設定するなどして、教育のさらなる充実と、人権への理解を深めるよう指導していくことを目指します。

9.2. 人権教育の取り組み

教育を受ける権利について考えたとき、これを実現させること自体が人権教育の教材になる。教育を受ける権利とは、授業数の確保を最優先し、その内容の充実させることである。一方、授業数カットが問題となり、そのけっか学力低下が懸念されている中、人権教育よりも学力の定着を図るべきではないかと思う。

【答弁】

国の人権教育に関する基本計画の中間とりまとめでは、留意点を四点にまとめている。

a) 自主性の尊重

b) 自由に意見交換できる環境づくり

c) 国民からの理解を得ること

d) 主体性・中立性の確保

本県においては、同和教育の誤った解釈から中立性に問題があった。現在もその是正は続いているが、まだ重要な課題である。今後も、指導要領に則った道徳教育の指導を続けていく方針であり、教科指導において特別な時間を割くといった事は考えていない

~是正指導に係る関係法令~

1. 公の性質

教育基本法第六条「学校は…を有する」

2. 全体の奉仕者

○日本国憲法152「公務員は…であって、一部の奉仕者ではない」

○地方公務員法第30「職員は…として公共の利益のために」(職務に専念する義務)

○教育公務員特例法「教育を通じて国民全体に奉仕する」

3. 教育の中立性

○教育基本法14「学校は特定の政党を支持(中略)政治的活動をしてはならない」

○中立確保法1「教育を(中略)不当な影響又は支配から守り」

○同3「団体をして教員に政治教育を助長せしむることを禁ず」

4. 不当な支配

教育基本法16「…に服することなく(中略)公正かつ適切に行われなければならない」

5. 公務員の選定及び罷免

日本国憲法15「(これにかんしては)国民固有の権利である」

~国旗及び国歌に関する法律~

1. 国旗

日章旗とする。

1.1. 寸法及び日章の位置

建:横=2:3とする。日章の直径は縦の3/5とし、円の中心は旗の中心に来るようにする。ただし、制式の特例として、縦横を10:7とし、日章を横の長さの1/100だけ棒に寄せることができる。

1.2. 色彩

白地に赤

~広島県教育情報の提供~

1. ホットライン教育ひろしま(広島県教委HP

a) 施策・事業の紹介

b) 県議会における質問と答弁

c) 記者発表や教育委員会会議資料

d) 統計調査

e) 文科省の新規掲載情報

f) 施設紹介・学校や教育機関へのリンク集

2. 広島県率教育センター

a) 総合案内

b) 研修講座

c) 研究

d) 教育相談

e) 学習指導案例集

f) 教育センター刊行物 

g) その他の情報

3. 広報紙「くりっぷ」

Creative Learning Information Paper

保護者や教職員への配布。H8から年3回のペースで配布。 教育改革 ・予算・入試日程・行事の日程や説明など。