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広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ

2020年5月7日木曜日

英語授業・全校での共同学習のすすめ「主体的・対話的で深い学び」をめざして(5/5)完

5章 協同学習で学校改革に取り組む(実践編)
筆者のある中学校(O中学校)での6年間の取り組みのまとめ
 5.1. 赴任した年が(2008年度)の様子と取り組み
 問題行動が多い学校で、生徒の中には授業開始直後に伏せてしまう子も。学びを諦めてしまった様子が窺える。小学校で学級崩壊を経験した生徒も少なからずいる様子。ある先生からは、「この学校が最後の赴任校とはお気の毒。難しいことはできない。私も随分レベルを下げた授業をしている」と言われるほど。
 取り組みは10月スタート。研修会を開いてもらって、「グループ学習の重要性」というタイトルで問題提起。授業の様子もビデオに撮ってみてもらった。グループやペアでは参加できている生徒の様子も見てもらった。今後は校内研修会を実施し、全校、全学年での研究授業を実施していくことなどを提案する「今後の方針(案)」を出した。
 その一月後、別の中学校の研修会に参加した。そこで共同研究者として来ていた庄司康夫教授と話し、今後O中学校で研究に取り組む場合は協力してもらうことに。
 2月に庄司教授を招いて校内研修会を行った。これをきっかけに、学校でも年5回の全体研究授業、年4回の学年研究授業などを行い、「全ての生徒の学びを保証する」という旗のもとに、多くの先生の賛同を得て進めて行った。

 5.2. 改革の始まりと進行、子供たちと学校の変化
 5.2.1. 改革1年目
 研究副主任となり、「楽しく英語力を高めるあの手この手」にあるような改革が始まった。その頃の校内研修の方針は、以下の通り。(覚書:フルで載せられているが、まとめではざっくり要約)
・・・方針・・・
基本方針:全ての生徒の学びを保証する
 学びの共同体を作り、学び合いを通して学習。全教員が年に一度は授業を公開、全員で協議。外部講師を招いて、ともに研究を進める。先進校への視察も行う。
◯研究授業の持ち方
 月一程度、当面は校内授業。指導案ではなく「デザイン」を用意する。
◯進め方
 外部講師を6回招き、年4回学年研究授業をする。先進校の視察。費用が不足する場合はP TA特別会計から支出して貰えるよう依頼。校内研修を学校運営の中軸にするための組織や運営の改革。クラスは男女市松模様。コの字型を可能な限り導入。人間関係づくりとしてのグループエンカウンターなども必要に応じて導入。
◯研究授業計画(割愛)
月  日  曜日
内容
研究授業者






講師
 佐藤学先生 庄司康雄先生 村瀬公胤先生 北田佳子先生

◯全体研究授業の持ち方
 全体研究授業を持たない先生は、学年研究会を1回は行う。学年内で日時を決め、全体に公表して実施。学年内でも授業研究会を持つように。

◯研究推進委員会の持ち方
 校長、教頭、5人の推進委員で構成。月1回定例委員会を設ける。他校や関係図書からの情報を取り入れる。全校の研究推進上の課題を明らかにする。
◯その他
 先進校視察について
・・・方針終わり・・・
 
 以上の取り組みの結果、視察先の先進校以上の成果を出すことができたと実感している。具体的には、上級生になるにつれて学びの質が上がっていること、問題行動が減ったこと、教師と生徒の関係の向上、教師・生徒ともに学び合いの成果を実感していること、があげられる。
 一方、課題としては、これをいかに継続していくか、まだ学びが身についていない下級生をターゲットにした授業の工夫、ジャンプの課題の意識、学年間の連携、小中の連携、保護者との連携を意識することが挙げられる。

 5.2.2. 改革2年目
 市と県の、道徳教育の研究指定校となり、「心豊かな人づくり」の分野で取り組んだ。とはいえ、実際に進めたのは学びの共同体づくり。なぜなら、「心豊かな人」は、学びの結果として成長すると考えていたから。
 改革前の授業では、開始直後に寝てしまう生徒が、改革2年目には、自分なりに授業に参加している。周りの生徒の答えを見て写し、写される方も嫌な顔をせずに、その生徒の授業参加の仕方を尊重していた。その結果、クラスの推薦で合唱祭の指揮者を担当するほどまでに活躍するようになった。(覚書:学びの結果として、道徳的な心豊かな生徒が育っている)
 小中連携にも取り組み、学び合いの流れを小学校からスタートさせる動きに。
 教師全体が、学びの成果を実感し始めた。ジャンプ課題の導入以前に、共有の課題を丁寧に教えることが大切な学力の生徒の存在、わからないと自分から言えない・聞けない生徒への対応なども視野に入れた実践が必要。

5.2.3. 改革3年目
 基本方針はほとんど同じだが、全校でコの字を実施。校内授業研修や小中連携も引き続き実施。普段の授業を見合う関係もできてき始めた。
 ◯道徳教育研究発表
 「研究紀要づくり」
  学び合いと道徳教育の充実で、心豊かな生徒を育成するという研究テーマで
 「学びの基本スタイルの決定」
  学習内容の明確化、質の高いジャンプの課題、グループ学習に適した課題、が基本。共有課題を大事にし、ジャンプ課題に取り組み、生徒の言葉や作品によって深めるように。(覚書:一枚もののプリントが掲載されているが、ここでは概要のみ)
 「研究発表会の様子」
  研究推進委員会の下に、「学び合い学習部」「思いやり研究部(SSTなど)」「環境づくり推進部」を設置して取り組んだ様子を発表。

 全体的に良くなってきている。今後は、全学年コの字の徹底、視察の人数の増員、関係図書の購入ができれば良い。
5.3. 研究方針変更の動きと学年の取り組み
 改革が始まって4年目、言語活動の充実を目標に、その手段として協同学習があるという位置づけられた。協同学習の結果としての言語学習の充実だ、とはならなかった。研究授業の回数も減った。その結果と言えるほど原因は単純ではないが、減少傾向にあった非行も、この年度の途中から増え始めた。
 学年としては、教師主導ではなく、生徒が主体となって活躍できるような学年集団を作ってきた。その中で、生徒のリーダーたちは、授業の中でも力を発揮してくれた。
 
5.4. 筆者最後の勤務の年の様子と実践の総括
 研究授業が減った中でも、工夫して公開授業や放課後研究会を開催した。学年としては、協同学習の重要性を共有できていて、生徒にもそれを伝え続けた。クラスの生徒のケアし合う関係が、数人の生徒を救ったように思う。
 O中学校の取り組みを振り返ると、ボトムアップで出発した改革だったと言える。全校をあげての協同学習の推進に取り組めたことは幸せだ。研修方針が変わって、協同学習への取り組みが弱まりこそしたが、その中でも議論を重ね、全職員総出で取り組んできた。この経験で、学びの共同体づくりのさらなる可能性について考え、理論や実践をより学び、学びの共同体づくりや英語教育に今後も関わり続けたいと思えた。
(覚書:卒業生からの感謝の手紙、還暦祝いのサプライズなど、最後に生徒や教員、保護者の方の協力への感謝で括られています。)
(最初から読む:1/5へ)

英語授業・全校での共同学習のすすめ「主体的・対話的で深い学び」をめざして(4/5)

4章 協同学習による学校改革をどう進めるか(理論編)
 佐藤学氏の「学校を改革する 学びの共同体の構想と実践」の要約(覚書:本まとめでは、さらにその要約)
 4.1. 二十一世紀の社会と学校
 学びの共同体の学校改革は、「21世紀型の学校」を実現する改革。全ての生徒に、教育の質を担保する。
 4.1.1. 成立基盤は4
 ・知識基盤社会への対応(生涯学習の基礎として、学びの主体としての学習者を育成。創造的な思考・探究、協同する力を育成する。)
 ・多文化共生社会への対応
 ・格差リスク社会への対応
 ・成熟した市民社会への対応(主権者教育、公共理論の教育、葛藤解決の教育、社会奉仕の教育)
 4.1.2. 教育の変化
 ・プログラム型ではなく、「プロジェクト型」へ。(主題探究表現 の単元によって組織)
 ・一斉授業から協同的な学びへ
 ・学校機能の変化(学校が自律し、教員の学び合うところ、地域の文化的センターとしての役割を担う)

 4.2. 学びの共同体の使命と哲学
  ・「一人残らず子供の学ぶ権利を保障し、その学びの質を高めること」が使命。
  ・学びの共同体の基礎となる3つの哲学
   「公共性の哲学」(教室を開かれたものに)
   「民主主義の哲学」(他社と共に生きる生き方:デューイの定義による。物静かな教員の呟きが反映される学校に。)
   「卓越性の哲学」(課題のレベルを上げ、卓越性を追求する事で、学びにおいて最も重要な「謙虚さ」を育てることにも。)

 4.3. 学びの共同体の活動システム
  上記の使命と哲学に基づくシステムは3
 ・教室における協同的学び(4.4.に詳述)
 ・教師の学びの共同体と同僚性の構築(4.5.に詳述)
 ・保護者や市民が改革に参加する「学習参加」(4.6.に詳述)

 4.4. 協同的学びによる授業改革
 4.4.1. 小グループの学びがもたらすもの
  ・学びの本質:新しい世界との出会いと対話。学びには、「師」と「仲間」が必要。
  ・一人一人の学びの権利の保障:グループの強制性
  ・低学力の子供の学力回復
  ・学力が高い子の、より高い学力の保障:ジャンプの課題の活用。わかっている子は、わからない子への応答で「わかり直し」を体験している。
 4.4.2. 学びの進み方:基礎と発展の役割と順序
 ・「ジャンプの課題」の設定:3分の1が達成できるレベルが妥当。学びに夢中になることが最も大事。
 ・基礎と発展の逆転:基礎発展と学習できるのはできる子たち。発展問題を見て、基礎の内容を「そういうことだったのか」と理解する低学力の子もいる。
 4.4.3. 「教え合い」と「学び合い」の違い
 ・「教え合い」は「お節介の関係」、「学び合い」は「さりげない優しさの関係」。一方的に教えるのではなく、わからない生徒が「わからないから教えて」と言える力をつけることが大事。
 ・協力的ではなく、「協同的」。翻訳の言葉なので混同されやすい。
 「協力的」とは、一人でやるより集団で、競うより強力した方がいい。という理論(ジョンソン兄弟とスレイビン)
 「協同的」とは、「学びの活動=対話的やりとりによる文化的・社会的実践」と捉える考え方。(ヴィゴツキーの発達の最近接領域の理論とデューイのコミュニケーション理論) 
 ・「話し合い」と「学び合い」の違い。わかり切ったことについての意見を交わし合うのではなく、ボソボソと呟くように交流し、一人一人が仲間の呟きに耳をすまし、深く思考しあっている様子が「学び合い」。
 ・学びが成立する3要件
 「真正の学び」(教科の本質に迫る)
 「学び合う関係」(聴き合う関係づくり)
 「ジャンプのある学び」(背伸びができる、可能な限り高いレベルの課題)
 4.4.4. 学力向上の問題
 学力向上は、目的ではなく結果。全員が学ぶ権利を保障し、その質を最大限に高め、教師の力を伸ばし、民主主義社会を準備することが大事。不思議なことに、「学びの共同体」の学校改革の結果、学力向上も見られる。この学力向上は、学校改革の最後に実現するもの。学力は徐々には伸びず、時期が熟すと一気に向上する。
 ・学力向上の2段階ロケット
 「低学力の子の底上げ」「中間層のさらなる飛躍」

 4.5. 教師における学びの共同体
 教師の成長には、職人としての成長(技術面)と、専門家としての成長(実践と理論の統合)がある。前者は模倣によって、後者は研究によって培われる。
 4.5.1. 同僚性の構築
 同僚として掲げるべき3つの旗
  ・子供の学びの尊厳を大切にする
  ・教材の発展性を大切にする
  ・教師自らの教育哲学を大切にする
 優れた授業より、学びの質の向上を追求し、研究授業などでは、どの場面で子供の学びが実現していたか、もしくは損なわれていたかを、実際の子供の様子から見てとり、共有・議論する。
 4.5.2. 授業研究の改革
 年30100回以上の授業研究を行なっている学校がある。マンネリ化しないため、研究テーマを個人で設定して研究授業に臨む。教員の共同体は、個人の研究をサポートする立場として存在する。スーパーバイザーは、指導・助言ではなく、教師とともに学び合うことが求められる。

4.6. 保護者との連携・教育委員会との連携
 学校改革は、「内外から、上下から」の推進が求められる。内側からしか改革しない。しかし、外からの支援無くしては継続しない。
4.6.1. 保護者との信頼関係
 保護者と連携して環境づくりをすることは、子供に対する大人の責任。具体的な手段として、授業参観ではなく「学習参加」という形で、一緒に授業を作ってもらう。(覚書:授業は子供が作るもの、つまり、参加する=授業を作る、ということで、授業案作成に携わることではない、と思っている)
4.6.2. 教育委員会と連携
 パイロットスクールを設置するのが最も効率的。ただし、改革は緩やかに。ゆっくり育てば、根付く。

4.7.  国内外のネットワーク
 大切なのは、ネットワークという協同的な関係。改革であり、「運動」のように、中心的指導者を生み出さないような関係が大事。それぞれの学校が、緩やかで自主的な改革を進め、より広くシェアして進めていく必要がある。

英語授業・全校での共同学習のすすめ「主体的・対話的で深い学び」をめざして(3/5)

3章 英語授業での協同学習
3.1.教科書からの発展(かわいそうな象)
 ・新出単語が多く、重要構文も多い。
 ・戦争という歴史的背景がある。(史実とは多少異なる)
したがって、
 ・戦争とはどういうものか
 ・新出単語等を覚える
 ・仲間と力を合わせて読み取る
 ・多様な読み方を体験する機会に
という目的で読ませる。
(覚書:ここでは、授業の詳細が書かれているので、用意されている発問のみを紹介する)
 ・飼育係は、象を殺すことをどう考えていたか
 ・最初にジョンをどう殺そうを思ったか
 ・それに対してジョンはどうしたか
 ・2つ目の方法はなぜ成功しなかったか
 ・3つ目の方法はどんな方法で、結果はどうだったか
この後、DVD310日東京大空襲」の映像を見せ、戦争についての文を書かせている。授業後、生徒たちにアンケートを取ったところ、生徒は、内容のある英文を読むことを欲している様子。
◯アンケートで教え方、学び方を検証する
 ・この話は知っていたが、読んだことはなかった15
 ・英授業でこういう内容のあるものを読むことに賛成…84
 ・DV Dなどの関連教材に賛成…86
 (つらくなるからいやだ、という意見はあり)
 ・学んだこと、自分の中で変化があった…77
このように、子供たちが生きていく上でプラスになる学びを保証してくのが私たち大人の仕事ではないか。
32.「リオの伝説のスピーチ」を表現活動につなげる
◯ハンドアウトで、この授業の狙いと取り組みを説明
 ・未来のために、地球環境保護を真剣に考える機会に。
 ・どのような学習が、彼女のように確信を持った、内容の深いスピーチが出来るか考える。
◯読み取りから表現活動へ
 ・穴埋め日訳をし、重要表現(I’m afraid to)に係る箇所については翻訳をさせる。
 ・重要表現を用いた例文を考えさせる。そのために、教師が2つ例文を作って提示する。
◯演説全体を学び、感想とメッセージを書く
 ・スピーチの全文を日本語で読み、DVDを英語で見る。
 ・感想と、「環境と開発に関する国際連合会議」の各国代表へのメッセージを書く
ここでの場面設定:
 各国代表を前に、あなたが学校代表としてメッセージを送ることになった。相手はこれからの世界に大きな影響力を持つ人たちであることを踏まえ、400字程度でその原稿をかけ。
(覚書:本書では、生徒が英語で書いた感想とメッセージが紹介されている。日本語で書かれたものも紹介されている。英語でも日本語でも良いというスタンスなのだろう)
33.英語の歌で楽しく学びを深める
 英語の歌を楽しみながらも、語法や内容について触れるために、Reading-Listening方式をとる。
(英語歌詞を虫食いにし、隣に日本語訳を載せたプリントを用いる)
 ◯手順
 ・その歌や歌手についての説明(約2分)
 ・英語の虫食いを、8割既習、2割未習とし、達成感・挑戦心を養う
 ・グループで、辞書を用いて穴埋め(約1015分)ここで書けた単語には2ポイント
 ・歌を聞いて確認or穴埋め(約5分)ここで書けた単語は1ポイント
 ・全体で確認+語法などの説明(10分程度)
 ・感銘を受けた、共感したという部分に線を引きながらもう一度聞く(後ほど交流)
 ・上記の下線部を、理由をつけて発表(5分程度)
 ・必要に応じて感想を書く(2分程度)
(覚書:この章には、具体的な英語の歌が書かれている。また、その曲の魅力についても書かれているが、ここでは割愛)
 ◯簡略版
 上記の手順は、時間がかかる上、学力が低い生徒には厳しい、所謂ジャンプの課題である。そのため、簡略版にも挑戦した。
 ・説明(2分)
 ・新出単語単語確認(5分)
 ・読んで穴埋め(8分)
 ・聞いて確認(5分)
 ・答えと重要表現の確認(7分)
 ・You Tubeなどを用いて、本人映像の視聴(5分)
 ・感想と、簡略版についてのアンケート(3分)
 3年間で扱う歌一覧
 それぞれの歌の特徴も記載されていたが、割愛。
 歌の欄の()の数字は、生徒からの支持数。
1
4
The  ABC Song
Let’s Be Friends!(2)
5
Yummy-Yummy-Yummy(9)
7
Days of the Week
Twelve Months(2)
9
The lion sleeps tonight(18)
12
Puff(Peter, Paul and Mary)( 5)
2
Sailing(Rod Stewart)(1)
2
4
You Raise Me Up(Celtic Woman)( 16)
6
You’ll Never Walk Alone(1)
7
Top of the World(36)
9
A Thousand Wind(8)
10
Nada Sou Sou (Hayley) (18)
11
I just called to say I love you (30)
12
Ebony and Ivory(14)
1
Zero Landmine(18)
2
The Voice (Hirahara Ayaka) (18)
3
4
Love love love (Dreams Come True, Hayley)(16)
5
未来へ(日本語:Kiroro 英語:Hayley(21)
6
Dance With My Father (8)
9
いつも何度でも(ナターシャ、Hayley(20)
10
Bad day (Daniel Powter)(33)
11
We Are The World(36)
12
Happy Christmas( John Lennon ) (9)
12
Your Song (Elton John) (15)

3.4. 修学旅行では「平和と友好のメッセージ」で交流
 直接話せる嬉しさ、学んだ英語を実際に使える喜びを体験。世界平和について考える機会にする。外国人からメッセージをもらって、写真をつけた報告書を作らせる。
 ◯事前に
 ・授業で、取り組みの狙いの説明、会話文の練習、リハーサル(1回目)を実施。
 ・後日、昼休みか放課後に、教師にアポをとって2回目のリハーサル(ALTも活用)。その際、合格ラインを設ける。合格の条件として、「はっきり」「笑顔で」「紙を見ずに相手を見て」「プラスアルファの表現が使えたらより良い」ということを伝えている。
 ※ 授業で扱う会話文練習プリントには、
 ・外国人と話す時のマナー(目を合わせて、キャッキャせず、プライバシー関連は聞かず、余裕のある人を選んで、短く端的に話す)
 ・実際に使う会話例(Excuse me. May I speak to you?)+会話文のフローチャート式(もしYes. / Sure. / OK. なら)だったり、ちょっとした状況対応マニュアル(Noの場合、手を振るだけのこともある)
 ・質問文例集
 ・メッセージをもらうためのセリフや流れや、教員が書いた依頼文(下記の「◯当日」の項参照)の説明
 が載っている。
 ◯当日
 (1)教師が書いた外国人宛の依頼文
 (2)メッセージを書いてもらう用紙
 を持たせて出発。目標は、2組以上の外国人からメッセージをもらう。
 ※依頼文は英語で載っている。ここでは簡単に日本語訳して紹介する。
 外国の友人たちへ
  やあ。〜学校の教員です。このたびはうちの生徒が修学旅行でを訪れています。
  ここであなたたちに会えて、生徒は喜んでいることでしょう。そこで、平和や友情について、世界各国の視野からの意見を貰いたい。生徒が英語の詩を書いたから、それを紹介するね。(略)
 簡単なメッセージでいいから、平和や友情について、もしくは、日本や日本の生徒の印象について、書いてもらえないかな。生徒が持ってる紙に書いてね。
 協力ありがとう。良い旅行でありますように。日本を楽しんでね。
(覚書:ざっくり訳。原文と異なる箇所あり。)
3.4. アンケートでの生徒の声
 協同的な学習を、生徒は楽しんでいる。英語の理解につながったと感じる生徒も多い。授業以外で英語に触れるきっかけにもなり、歌や映画などから英語を学んでいる生徒も数人いる様子。
 ただし、中にはグループが苦手という意見もあったり、授業以外で英語に触れる機会がなかったという生徒もいた。
 アンケートを通して、改善点も見えてくる。
3.5. 教師の実践力を高めるために
 前著「楽しく英語力を高めるあの手この手」にも書いてある。が、もう一度触れる。
◯著者自身の取り組み(30代後半ごろから)
 ・教職員組合の教育研究集会に毎年参加し、レポート発表を続けた。
 ・一緒に学んできた仲間と、「埼玉北部英語サークル」を立ち上た。年一度の英語教育講演会に、著名な方々をお呼びしている。
 ・自分自身、Reading-Listening方式で英語力を上げようとした。國弘正雄「只管朗読」「只管筆写」をやってから効果を実感し始める。「英会話・ぜったい・音読」シリーズも実践的。英字新聞をALTに読んで録音してもらうなど。
 ・研究会などに参加し、教育の本質を学び、社会を見る目を鍛えた。
◯実践力を高めるおすすめ10カ条
 ・出来そうなことからやってみよう
  一つずつで構わない。とにかくやって、積み上げる。
 ・実践をまとめてレポートにし、交流
  次に活かすためのレポート
 ・良いものはシェア
  みんながシェアすれば、自分の益にもつながる
 ・有意義な研究会や研修会に参加
  新英語教育研究会(全国大会)、学びの共同体研究会(研究大会)はおすすめ。もっと早く出逢いたかった。
 ・地域のサークルや研究会に参加
  なければ自分で作ってみる。
 ・社会、世界をみる目を
  民間研究会も含め、広く学んでこそ日本や世界の未来が見える。その先に教育があるのでは。
 ・専門性を高めよう
  授業力と教科力は車の両輪。
 ・ピンチはチャンス。迷ったらGO。悩むより動く
  困難に出会うこともある。そんな時こそ新しい力が身につくチャンス。避けずに、打開策を練ろう。時間をかけてでも。
 ・課題を整理して、自分に必要な分野に集中
  忙しい中で力を伸ばすには、自分の課題把握が必要。
 ・夢は大きく、根は深く。夢は実現する、夢しか実現しない
  努力を続けることが我々の才能。そのための目標は大きく、根強く。