1. 構成
上下二巻・1000頁程度の長編小説。
二つのストーリーが交互に展開され、ある一時点において重なる。それぞれのストーリーは、互いに影響し合って『海辺のカフカ』というストーリーを作り上げると同時に、それぞれにおいてもある種の完結を見せている。
2. メタファー
本小説では、メタファーと現実の錯綜が見られる。現実はメタファーであり、メタファーは現実である。「世界はメタファーだ、田村カフカ君(下巻p.523)」 というセリフもみられる。夢と言うメタファー、詩の中のメタファーが現実と錯綜し、独特の世界が展開される。
3. 言葉とメタファー
「言葉では上手く表せない」ようなとき、私たちはメタファーを使う。しかしそもそも、私たちの言葉は世の中の現象を表現しきれているのか。写真では風景を“完全に”再現できないように、言葉では物事を“完全に”表すことは出来ない。つまり、「言葉」自体も、ある種のメタファーなのではないだろうか。先に引用した、「世界はメタファーだ」というセリフは、この事を表すのではないだろうか。
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