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広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ

2024年1月21日日曜日

翻訳の面白さ

翻訳と日本語訳は違う。翻訳については、『翻訳はいかにすべきか』という本に関しては、別の記事にまとめてあるので、ざっくりと二つの違いをまとめると、次のように説明できる。

 翻訳:原文を読むのとさして変わらないものにする

 日本語訳:原文にある内容が、日本語でも理解できるようにする。

具体例としてわかりやすいのは、red herrings(赤ニシン)を題材にした英詩の訳である。

原文:I admired her rings.

日本語訳:私は彼女の指輪をほめたたえた。(注釈:admiRED HER RINGSの部分に、題材のred herringsが隠れている)

翻訳:私は彼女の指輪の赤に心底惚れた。


日本語訳では、注釈がなければ「おおーすげー」とはならない。原文や翻訳では、注釈がなくても感動できる。


にわか翻訳ファンとしては、柳瀬尚樹さんの訳が個人的には好きである。「日本語は天才だ」とは柳瀬さんの言葉であるが、彼の翻訳を見ていると、確かに日本語は天才だと思わされる。先に挙げたred herringsも、彼の訳であったと記憶している。


ということで、翻訳って面白い、奥が深い、ということをわかってもらいたいので、授業で生徒に翻訳させた英文と、その翻訳文を紹介する。


不思議の国のアリスより

 He was a turtle, but we called him Tortoise.  Why?  Because he TAUGHT US!

 生徒訳

 僕たちの先生は立派な雄牛だったが、みんな子牛って呼んでたよ。なんでかって?彼が講師だったからさ!

 うちの先生は白猫だったけど、黒猫って呼ばれてた。だって尾も白みがなかったからね。

 先生とは赤の他人だけど、親子関係さ。あいつがいなけりゃ始まらない。あいつはチーチャーだからな。(麻雀 起家[チーチャ] 最初の親をする人のこと)


不思議の国のアリスより

That's the reason they are called lessons, because they lessen from day to day.

 授業数は日ごとに減るんだよ。地獄みたいな授業だからヘルのでちょうどいいだろ。

 授業数は日ごとに減るんだよ。「まなび」なんだから、「まのび」させないようにしなきゃ。

 言語数理運用科だろ、言数なんだから減数していくんだよ。

 いろんな現象を教えてくれたのさ。減少する現象もね。


なぞなぞより

 Where does today come before yesterday?  In a dictionary!

 今日より明日が先に来るのはどこ? 辞書!



など、「この言葉遊びは翻訳できないだろ」と思うようなものが、日本語でならできてしまう。


難しいのは、なぞなぞである。例えば、

Why is a like noon?  Because they are middle of the day!

 Aと正午が似てるのはなぜ? どちらもDAYの真ん中だからさ!

という風に、無理やり日本語にすることはできても、日本語に翻訳することは難しい。しかし、なんとか頭を絞ると、それっぽいものが出てくる。

「よ という文字と正午の共通点を述べよ。 どちらも今日の真ん中だ」

しかし、翻訳では訳しきれなかった原文の魅力がある。それは、Aという文字がアルファベットの最初の文字である、という美しさである。日本語にするなら、「あ」という文字に置き換えなければならない。つまり、最も美しい翻訳の形は、

「○ という文字と、正午の共通点を述べよ。 どちらも○○の真ん中だ」

である。それを満たそうとすると、「日」という字の真ん中が「一」という漢字であることに注目して

「一 という文字と、正午の共通点を述べよ。どちらも「日」の真ん中だ」

という風に、何とか翻訳できてしまう。調子にのって、いくつか考えてみようと思う。


Why can't a bicycle stand on its own?  Because it is two tired.

簡単にやろうと思えば、日本語は天才なので、自転車という漢字自体がこのジョークの答えとなっている点を生かして

「自転車はなぜ自立できないのか。できないから自転車なのだ」

哲学っぽくてかっこいい。


What becomes shorter when you add two letters to it.  Short

2行加えたら短くなるものなんだ? 川柳・俳句(短歌になる)



終わりに

 翻訳って、頭の体操みたいな気がします。なぞなぞを解いたり、クイズを解く感覚と似ています。今回は、そんなパズルみたいな翻訳ばかり紹介してきましたが、通常の文も日本語訳と翻訳では違いますし、より高等な技術や知識を求められます。例えば、

 I love you →月がきれいですね

なんて有名ですが、つまりは、そのセリフや文章の言い手、書き手になったつもりで、何を伝えたかったかを100%理解したとき、自分なら(日本人なら)どういうだろうか、どう書くだろうか、と想像して言葉を選ぶのが必要なんだと思います。

2024年1月19日金曜日

難単語を用いて エッセイ

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作品一覧

  お題

単語 factor, ability, dedicate, environment

文法 特になし

系統 特になし

トリック とにかく難しそうな単語を使って

Excellency cannot be attained in a single day.  Human life would prove inadequate for achieving extraordinary talent. It is more hereditary than acquired, that is, the essential factor for outstanding capability lies in the ability to dedicate oneself to a specific pursuit.  The environment in which one is born and raised plays a significant role in enhancing this dedication.

In retrospect, my family circumstances were disastrous, which is a crucial factor influencing why I am writing this seemingly nonsensical essay.


卓越性は一日で得られるものではありません。人生は非凡な才能を獲得するには不足してしまうでしょう。これは取得よりも遺伝的な要素が強いとされ、すなわち、優れた能力の本質的な要因は特定の追求に自己を捧げる能力にあります。生まれ育った環境は、この献身を向上させる上で重要な役割を果たします。

振り返ってみると、私の家族の状況は壊滅的であり、これがなぜ私がこのような意味不明なエッセイを書いているかの重要な要因でした。


自らの語彙の少なさに打ちひしがれました。今回は、chat gptに添削をしてもらった結果です。自力で書いたのは、以下の英文です。もちろん、単語をたくさん調べました。

Excellency cannot be attained in a single day. Human life would still be inadiquet for achieving the talent. It is more hereditary than acquired, that is, the essential factor to the outstanding capability is represented by the ability to dedicate on a certain matter, with the environment where those were born and raised to enhance the dedication. In retrospect, my family circumstance was disasterous, which was the crucial reason why I am writing nonsensical essay like this.




2024年1月18日木曜日

分詞構文 学校での話 伏線回収

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作品一覧

お題

単語 test, dead

文法 分詞構文

系統 学校での話

トリック 伏線回収


Everyone in this room was looking down at Earth.  Most had their eyes closed; some were even pulling at their hair, strand by strand.  No one seemed to be alive, or dead apparently.  No one dared to speak, and cold silence hung in the air.  Among the half-dying individuals, one put his head up and looked up at the clock, which remained as silent as a doornail.  He stared at it as if waiting for something.  As time passed, others followed him, casting their eyes upon the clock.  A minute before the end of the farce, everyone was fixed on the ticking hands.  Now the test was over, and the room returned to its normal. 


この部屋ではみんな下を向いていた。そのほとんどが目を閉じ、髪を引き抜くものもいた。誰も生きているようにはみえない。もちろん、死んではいないのだが。誰も口を開こうとはしない。冷たい静寂が場を包んだ。死にかけの群衆の中で1人、顔を上げて時計を見るものがいた。時計は生気を感じさせないほどに静かだった。彼は何かを期待するように時計を睨み続けた。時が経つにつれ、他のものも彼に追随し始め、この茶番が終わる1分前には、みんな時計を睨んでいた。テストが終わり、教室は元の姿を取り戻した。


テスト中、全員の顔が時計に集中すること、ありますよね。