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広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ

2011年4月15日金曜日

Hush Little Baby~パロディーと翻訳~



0.パロディーと翻訳
パロディーとは、ある元の作品をもじって、新しい作品を作り出す行為である(とする)。これは、パロディーのもとを「原文」、パロディー作品を「翻訳文」と考えることも出来る。今回は、パロディーを翻訳行為ととらえる。このことについて、最近読んだ本「翻訳行為と異文化コミュニケーション―機能主義的翻訳理論の諸相―」にある、スコポス理論をもとに考察していく。また、動画リンクを貼ったEminemのほかにも、RIP SLYMEやFlow・AAA・EXILEなどのJpopミュージシャンも引き合いに出し、主観的な考察を加える。

0.1 スコポス理論とは
スコポス理論とは、「翻訳は、目的に応じてその姿を変える」という理論である。つまり、一般の人が読みやすい訳文を作るか、その道の研究者たちが内容を知るための訳文を作るか、映画の字幕のように字数制限内で訳文をつくるかでは、同じ英文からでも全く異なった「翻訳文」ができる。この理論をもとに、先ほど挙げたミュージシャンたちの「翻訳」を“簡単に”且つ“主観的に”分析していく。

0.2本考察の構成
本考察は、著者が良いと感じたパロディーに関して、実例を挙げながらその良さについて考察していく。

1.良いパロディーその①
ここでの良いパロディーの定義は、「目的の設定が適切で且つ達成されている。また、元ネタを知っている事で、また元ネタと照らし合わせることで、その曲の深みが分かるもの」とする。所謂、「深いうた」である。
適切な目標設定とは、元ネタの表面上の意味ではなくその「エッセンス」を理解して使っている(14・17再々まとめの、1.2.2参照)ということである。
1.1.エミネム
Facebookのエミネム関連のページで、"Why is Eminem cool?"か何かの質問と、それに対する答えが書かれていた。その答えの一つに、「エミネムは日常をうたっているから」という回答があった。このmockingbirdも、日常をうたっているものと言えるだろう。大まかな内容は、「母がいない状況の娘たちに向けたもの」である。

また、この歌はある種の”パロディー”でもある。この歌のもとになっているであろう詩は、nursery rhymesの。Hush Little Baby


この詩の内容は、「お母さんが何でも買ってあげるよ」というものである。

つまりこの歌は、「何でも買ってあげる」という内容を、「娘たちに向けた励ましのメッセージ」として翻訳(改作)したものであり、元の詩が意味したことをそっくりそのまま”エミネム化”していると言えるだろう。

歌詞にある、[I'm a give you the world]に込められているであろう気持ちは、元ネタを知っていないと見えてこないかもしれない。(元ネタではさすがにworldを付与する場面はない。この点でエミネムは、元ネタの母を凌駕している)

つまり、「元ネタをも超えるほど愛している」というメッセージを伝える目的のもとに為されたパロディーであると見ることができ、それはみごとに成功しているのではないか。

1.2 RIP SLYME

RIPに関しては、以前に「Wonderful」を紹介したページ、「wopbabalubop-wopundo」を参照。


どことなく漂う昭和の香りは、元ネタの知識なくしてはなかなか味わい切れないだろう。

詳しくはしらないが、「良き古き時代を現代に」というメッセージ(?)、もしくは「今昔融合」を目的としていると言うことが出来るのではないか。だとしたら、見事に成功している。

1.3. Flow
有名なのは、「贈る言葉」。海援隊の名曲のカバーである。別れを惜しむ気持ちを隠した、男泣きをイメージさせるような歌である(ように思う)。
海援隊とFlowでは、時代が違う。
海援隊は、正に「男泣き」である。一方、Flowは、むしろ「自棄っぱち」である。
Flowは、「自棄っぱち」をかっこいいと思ったか否かは置いておいて、「男泣き」という日本の芸術を現代語訳すると「自棄」になる、と解釈したのだろう。唯一の違いは、「男泣き」は”かっこよく”て、「自棄」はみっともない、という点である。Flowがそこを分かっているのか、「自棄はかっこいい」と勘違いしているのかには触れない。

2.良いパロディーその②
ここでは、原曲がよいため、そのままカバーした曲が良いものに仕上がっている例として、AAAの「もう恋なんてしない」を挙げる。
要するに、原曲:牧原則之(マッキー)を聞けばよいというはなしではあるが、現代の若い人が古い歌を聞くためのキッカケとしては良いであろう。
つまり、「古い歌を知ってもらおう」という目的で作られた歌であり、あながち失敗はしてないと思う。

3.良いパロディーその③
ここでは、名曲を世間にもう一度広める役割をしている歌を取り上げる。
か有名な、EXILEの銀河鉄道999(笑)である。
この曲は、999の存在を世に知らしめるためだけに作られた歌である。しかし、EXILEはここに一つ付け加えをしている。「原曲の否定」である。無様にも取り入れられたラップの箇所。その意味を見てみると、

「銀河に行くのは夢ではあるが、結局俺たちは人間だから無理。じゃあせめて、このライブで銀河に飛んでいくくらいにノリまくれ!」

というふうにも取れる歌詞になっている。http://music.yahoo.co.jp/lyrics/dtl/KAA055029/AAA180952/

つまり、この曲の目的は、「過去の偉大な作品の威を借りてひと儲けしよう」ではないか。残念ながらそれは成功を収めているように思える。

これを機に、「原曲を世に知らしめる」と言うの本来の目的を思い出して、偉大な「ゴダイゴ(Godiego)」の銀河鉄道999の良さをかみしめようではないか。



追記:銀河鉄道999に関しては、以下のブログ記事で興味深いことを述べている。






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