五冊目:超ミクロ世界への挑戦~生物を80万倍で見る~ 田中敬一著
まとめ+私見(9:1)
0.偶然の産物
対象物を、ある特殊な方法で乾燥させる。すると、姿かたちはそのままで脱水をすることができる。その対象物をスキャンした時、その画像を80万倍にしても画像が乱れない。80万倍と言えば、ピンポン玉が月になるような倍率である。そんな高倍率での観察を可能にしたのが、この著者が設計した電子顕微鏡(超高解像度走査電顕)である。この装置の完成の裏にある努力と勘、そして偶然をおさめたのが、この本である。
1.知識を疑う
私たちはつい、物事を”分かった気に"なってしまう。そして、大きな落とし穴はそこにある。"知識"のある人なら、意味がないと"分かっている"ことはしないだろう。それが大きな落とし穴となる。(教授なら)普通はしないことを、学生は平気でやってしまう。そこに新たな発見だってあるのだ。
2.常識(通説)を疑う
~は出来ない。~は不可能だ。そんな定説の中にも、間違ったものはある。かつてこの電子顕微鏡は、7~8万倍が限界と言われていた。著者もそれを信じていたようだ。しかし、15万倍の画像が撮れることが判明するや否や※、著者は80万倍への確信を持つ。 出来ると思ってやるのと、出来ないと諦めてやるのでは、結果は歴然である。80万倍という倍率も「すごい」のだけれども、それまでの通説を破ったことも評価されるべきである。
※15万倍の倍率での撮影は、1981年、長武均:おさたけひとし (ら)によってなされた。
3.百聞は一見に如かず
ミクロの世界を、想像だけで話すのには限界がある。現に、当時考えられていたミクロの世界の一部は、この顕微鏡で観察された物とは異なっていた。但し、この顕微鏡でものを見るには、対象物を乾燥させる必要がある。乾燥の過程で、「全く変化がない」とは断言できない。何が正しいのかは、これからの科学の進歩に期待である。
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書評(というか感想)、日ごろ思ったことなどを、思うままに書いていくメモ帳的なブログ。いつかこれを見返して、何か自分の中に再生産されるようなメモ帳になればいいなと思います。
自己紹介
- ironustak
- 広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ
2011年4月13日水曜日
ミクロの造形美 ~80万倍の神秘~
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