十八冊目:あなたの隣の≪モンスター≫ 斎藤孝(2008) NHK出版 生活人新書
感想
モンスターペアレンツ、モンスターペイシェント・・・いたるところにモンスターと呼ばれる人がいる。そんなモンスターに成る可能性を、誰しもが持っている。そんな「一人一人の心の中に住むモンスター」をもう一度客観的に見る本。
まとめ+私見(解釈が多く含まれている。「」内は引用。)
0. みんなモンスター
周りがモンスター化しているから、自分もモンスター化しやすくなっているのではないか。
1. 一分一秒
昔は、飯屋で注文が通ってないときでも穏便に済ますことができた。しかし最近は、「サービスが全体的に向上してきた」り、「権利を過剰に主張」するようになってきたせいで、 文句が言いやすくなってきている。また、都会の一分一秒を争うような喧騒の中では、思いやりより我先に。そんな社会の中にいたら、自分の”普通”の基準が崩れてしまう。そんなときは、「モンスター化している状態を自認」してモンスター化を「自覚することが」大切だ。一分一秒を争うのではなく、もっとゆったりした時間の中で充実感を得よう。(一章前半)
2. 甘えたもん勝ち・言ったもん勝ち
「最近の子どもが叱られたことが少なく、しっかり反省する回路を身につけていない」という現状。叱られ慣れていないせいか、「叱られても当然」という「規範意識」がない。自己存在はアピールしたもん勝ち。クレームは付けたもん勝ち。その裏には叱られない習慣が隠れているのではないか。(一章後半)
3. 消えた日本人
日本において、「人前では、悲しみを包み隠すことが礼儀とされてきた」。 そのおかげで、明治維新後の「西洋的な公的空間は、当初から西洋以上にうまく機能した」。しかし、その日本人としての中身がどんどん無くなっている。それには、社会が豊かになったという背景があるのではないか。(三章)
4. 人を追い込む社会
豊かな時代にはストレスが多い。成功したい、つまり、人に「認めてもらいたい欲求」もある。今や会社が株主のもの、消費者の物であるから、社員は少しでも減らして、安さ、便利さを追求する。仕事ができなければクビ。30代のフリーターなら不採用。昔は、仕事ができるやつができない奴の分まで働いていた。なぜなら会社が社員全員のものだったからだ。それも、社員同士に人間関係があるからこそできたことである。今はその人間関係が無くなってきている。(四章前半大約)
5. 人は、人とのつながりの中で成長する
SNSサイトでは、仲の良い人とだけ関わればいい。非常に楽ではあるだろうが、それは薄い人間関係である。ぶつかり合ったり、励まし合ったり、競い合ったりするような、有る意味居心地のよくない空間が、濃い人間関係である。その、濃い人間関係に浸ることで、人間は成長していけるのだ。その人間関係も、「上向きの方向性で同調し合って」いるべきだ。それぞれが向上心を持ち、お互いを高めあっていく人間関係があれば、人間は成長する。(四章・五章大約)
まとめにあたって
今回は、かなり前に読んだ本を取り出して、粗い読みをし、粗いまとめをした。自分の意見や考えも含まれている”まとめ”になったが、「こういう読み方もあるんだな」と、それこそ穏便に済ませていただきたく思います。
ただ、明らかに本と違うことを言っている、というのがありましたら、ご指摘願います。
アマゾン:あなたの隣の≪モンスター≫
書評(というか感想)、日ごろ思ったことなどを、思うままに書いていくメモ帳的なブログ。いつかこれを見返して、何か自分の中に再生産されるようなメモ帳になればいいなと思います。
自己紹介
- ironustak
- 広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ
2011年4月13日水曜日
あなたの隣にクレーマー?むしろあなたがクレーマー?
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