十二冊目:余白の愛 中公文庫 小川洋子著
書評~本書からの連想~
(以下の文章は、本書の直接の感想・書評を述べていません。私自身の解釈を述べます。)
X^n + Y^n= Z^n n≧3の時、XYZを満たす自然数は存在しない。 これは有名な「フェルマーの最終定理」と呼ばれる定理である。フェルマー(pierre de Fermat)は、数学の問題集の余白にこの定理を記した。また追記として「この定理の偉大なる証明を発見したが、この余白には収まりきらない」と書き、後世にその証明を残すことはなかった。アンドリュー・ワイルズ(Andrew Wiles)が、数十年掛けてその証明を再発見するのは、それから300年以上後の事である。
(詳しくは以下リンクより)
wiki フェルマーの最終定理
アマゾン:フェルマーの最終定理 サイモン・シン著
フェルマーは、アンドリューが発見したものと同じものを見つけていたのだろうか。それとも、違う形での証明だったのだろうか。はたまた、証明など見つけることは出来なかったのだろうか。仮に見つけられなかったのだとしたら、どんなことを考えてその定理を記したのだろうか。いずれにせよアンドリューは後に、その余白に込められた「真実」を一つ一つ紡ぎだすことになる。それはまるで、フェルマーが余白に込めた「真実」に真摯に耳を傾け、間違いのないように細心の注意を払いながら逐一記録していくようではないか。
360年という空白の時間。その「取り返しのつかない空白」を埋めようとするかのように。
(本書に数学の事は書かれていません。)
アマゾン:余白の愛
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