十一冊目:四コマ漫画―北斎から「萌え」まで― 清水勲著
1.四コマ漫画の変遷
四コマ漫画は、時代と共にその形・内容を変えてきた。
1.1形式の変遷
漫画は主に、「一枚画」か「ストーリー」に分けられる。しかし、日本の漫画はそうではない。二枚~数十枚で構成される「戯画」が主流であった。これが後に、新聞への掲載・雑誌への掲載などで、8コマ・6コマに落ち着く。さらにそれから、新聞に毎日掲載するようになった時、「4コマ」が書きやすいということになった。
1.2内容の変遷
漫画の内容は時代を通して、「万人が共感出来る」物であった。もともと漫画は、風刺画としての役割を強く持っていた。戦争や災害などがあると、罹災者らを慰める・元気づけるための物や、風刺画が書かれた。しかし、昭和あたりまでずっと続いた風刺画としての役割は、戦後大きく変わる。戦後直後の「天皇制の風刺」や「日本軍の風刺」に物足りなさを感じた戦後の「若者」が、新たにギャグ漫画を生み出した。いわゆる「萌え」が出始めたのも、この時期である。平和であればある程漫画は盛り上がりを見せる。
2.漫画の歴史的価値
戦後の漫画は、一般家庭の様子や人間性のような「普遍的」な物を書いたため、単行本として出版された。しかし以前までの漫画の単行本には成らなかった。なぜならほとんどが風刺画で、歴史的な背景を多くふくむためであった。その一方で、その「歴史的背景」や当時の人たちが求めた物、あるいは、その頃の言葉遣いなどを集めた「資料」としての価値を持つようになった。
感想:タイトルが「四コマ漫画」であったため、四コマ漫画の味わい深さなどについて書かれているのかと思った。しかし内容はひたすらに歴史だった。いつ頃に・どんな状況で・どんな漫画が出たのか、事細かに書かれてあった。本文中に著者の意見はほとんど見られなかった。あの有名な漫画がどのような時代の中で書かれたかがよくわかる本ではあったが、その一方で、期待はずれと言えば期待はずれだった。
歴史について知るには、とてもいい本だと思う。
考察:漫画のコマ数が減って、4コマに落ち着いたことに関して
俳句・略語などにも見られるように、日本人は、ある程度短くまとめるのが好きな人種なのかなと感じた。
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