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広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ

2011年4月25日月曜日

事件はどこで起きているのか

宮部みゆき(2002) 『理由』 朝日文庫



ある事件に関する真相を、ルポルタージュの形で解明していく600ページ程度の長編。

本書第三章冒頭(p.86)より
「磁石が砂鉄を集めるように、『事件』は多くの人々を吸い寄せる。爆心地にいる被害者と加害者を除く、周囲の人びとすべて―それぞれの家族、友人知人、近隣の住人、学校や会社などの同僚、さらには目撃者、警察から聞き込みを受けた人びと、事件現場に出入りしていた集金人、新聞配達、出前持ち―数え上げれば、ひとつの事件にいかに大勢の人びとが関わっているか、今さらのように驚かされるほどだ。」


この小説において、ルポなので当然ではあるが、事件はもう解決している。その事件が解決してゆく過程がルポの形式で、様々な人の視点から語られていく。主要線である事件の真相を知るのも、もちろんこの本の読みどころではあると思うが、その主要線の周りをらせん状にめぐっている『二次的な事件』も、またもう一つの読みどころであると思う。



事件に関わる人間は、自分の体験に基づいて事件を『再構築』する。
その時、その人にとっての『再構築』された事件は、現場で起きた事件とぴったり重なり合うものだろうか。


案外事件と言うものは、現場で起きているのではなく、関わる人間の、個人個人の中で起きているのかもしれない。






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