~授業力の向上~
生徒が「確かな学力」に付けさせるためには、日々の授業の質の向上が必要。「力がつく授業」の実践のため、教師一人ひとりが専門性・授業力を高める必要がある。
1. 求められる確かな授業力
生きる力のひとつ、確かな学力を育むため、確かな授業力が求められる。
求められる教師像教職志望者のための都道府県別説明会参照
2. 授業力
授業の「ねらい」を達成するため、計画・実施・評価・改善をする力。以下の四つから構成される。
2.1. 授業を企画し構想する力(計画)
生徒の実態の把握した上で、明確な狙いの下で教材選択し、その内容を探求・追求するための授業を作る力。
2.2. 児童生徒の状況に応じて適切に指導する力(実施)
高い指導力のこと。一人ひとりがわかる授業を展開し、生徒の意見を授業に反映させる力。
2.3. 授業を評価する力(評価)
学習の成果を的確に捉え、授業の成果と課題を明確にする力。
2.4. 授業を改善する力(改善)
研究授業などの研修を主体的に行い、目標とする授業像に向かって工夫・改善に努め、組織の中でも生きる授業を創ろうとする力。(意欲じゃね?)
3. 授業力を高める授業研究の充実
3.1. 授業を企画し構想する力の向上
3.1.1. 指導要領の理解
授業の企画には、学習指導要領のどの項目を教えようとしているのかを明確にする必要がある。そのため学習指導要領を熟読し、各教科の目標や内容の把握が必要。他校種の目標も把握し、統計的に理解しておくことも大切
3.1.2. 教材研究の充実
指導目標達成のため、内容・補助教材・指導法を吟味・選択・分析・理解すること。
(例)
「どのような力をつけるのに適しているか」・「既習事項の理解度はどうか」などをふまえ、「指導法・指導順・時間配分・評価」を考え、付いてこられない生徒に対する策を講じる。等。
3.1.3. 指導案の作成・検討
シラバスにおける本単元・本時の位置を明確にし、「狙い・内容・活動の構成」・「その結果としての成果」を示すもの。内容や様式は、各学校の目的や意図に合うように工夫する必要がある。
3.1.4. 発問計画の作成
狙いを見据え、充実した学習活動の展開には、生徒の反応を予想した発問作成が大切である。その際、発問の妥当性(狙いに即しているか、主体的な思考を促進しているか)を考え、具体的で分かりやすい表現にするよう注意する。また、発問やそれに対する答えを類型化し、まとめに役立てる。
3.1.5. 板書計画の作成
内容をまとめることで、その授業の流れが明確になる。発言をまとめることで、学び合いの内容が明らかになる。これに向け、生徒の反応を予想した板書計画の作成が求められる。
3.2. 生徒の状況に応じて適切に指導する力の向上
3.2.1. 授業評価の充実
生徒の実態や、学習のねらいに応じた指導力が大切。自らをビデオに撮る・他の教員に参観してもらうなどして、常に自己評価・相互評価し、改善していくことが大切。
3.2.2. 教師の「ことばの力」を高める
教師の言葉は、生徒に影響を与える。そのため模範となることばの力をつけ、普段から筋道立った分かりやすい話・説明を心がけなければならない。
3.2.3. 学習規律の徹底
規律も、生徒の学力向上に必要なひとつの要素である。これは、全教員がすべての教科で、統一された方向性のもと指導をしていかなければならない。
3.3. 授業を評価・改善する力の向上
3.3.1. 授業力をたかめるための校内研修
日頃から、教師一人ひとりが自分の授業を振り返り、記録しておく。それを用いて、教師間や学校全体で個々人の授業改善に取り組むことで、より効率的な授業改善ができる。
3.3.2. マネジメントサイクルに基づく校内研修
学校が組織として働くには、個々人の知識・経験が全体に共有されることが必要である。PDCAに基づく研修の成果などの「知」の共有をすすめていくことが大切である。
【校内研修のPDCA】
P
学校教育目標に即した研修計画・組織体制作りをし、生徒の現状から研究すべき内容や研修の目的を定める。
D
指導案作成・授業実践・研究授業・外部講師の活用・他校種間の連携・先進校観察など。
C
研修の分析や考察・生徒や保護者の意識調査と考察・研修の評価・研究仮説の検証など
A
課題の分析と改善計画の立案
3.3.3. 授業研究の充実のための事前・事後研修の充実
効果的な研修を行うべく、事前・事後の研修を充実させる必要がある。
3.3.4. 研修方法の工夫
「課題意識の共有」・「課題解決策の立案」など、様々な目的を円滑に果たすための工夫や、教師一人ひとりの主体的な参加し、それを実感することが大切。参加者全員で共通の課題に取り組み、切磋琢磨していけるような体制を築く等、目的に応じて適切な工夫が必要。
~マネジメントサイクルに基づく授業改善~
前掲にあるように、PDCAによる授業改善が生徒の学力向上につながる。
1. 授業改善のマネジメントサイクル
P
生徒の状況を把握し、学校教育目標に即した指導目標・年間指導計画の作成
D
学習過程や指導形態の工夫・指導技術の向上・個々に応じた指導の充実
C
学習評価の妥当性の点検・授業評価・授業公開による他の教員からの評価
A
成果と課題の明確化・指導改善計画の作成・日常的な授業改善
2. 計画段階の改善
計画作成の各段階同士のつながりや、実施・評価・改善を見通した計画作成が大切
2.1. 児童生徒の実態把握
学力調査やアンケート・観察・面接などによって課題やレディネス・既習事項の理解度を把握
2.2. 課題の明確化
以前の指導における個々・全体の課題の再認識や、実態把握結果の分析などによる明確化。
2.3. 目標の具体化・明確化
指導要領に則り、教科・学校の目標に合うよう、個々に応じた適切で具体的な目標の設定。
2.4. 教材分析~選定と開発~
教科書の研究を通して教材の価値を見出し、内容を図式化・補助教材など、個々にあった教材選択。
2.5. 指導計画
単元指導計画と年間のシラバスを関連付けて作成。
2.5.1. 単元計画
単元の目標・重点をおく内容・指導観・評価基準などを明確にして作成。また、生徒の反応や生徒に期待できる成果を予測した指導の展開・指導法の工夫が必要。
2.5.2. シラバス
学習指導要領に沿った単元の配列・指導時期の見通し・他教科との関連に配慮
【分析例(小学校算数)】
H19・20のテスト比較から、児童のつまずき・課題を整理し、これまでの授業の改善に向ける。比較の結果、正答率が上がっている項目に関しては「付いている力」、下がっているものは課題とし、その改善策を考える。
大きさ・量の感覚が身についていない→日常的に単位を使うなど、量感を養う活動 など。
3. 実施段階の改善
3.1. 狙いに応じた指導法
狙いに即した学習・指導を取り入れることが必要である。特に、知識技能の習得・思考判断表現力を養うためには、丁寧に教え、考えさせ、自分の言葉で表現させるといった工夫が必要である。
3.2. 確かな指導力
確かな学力を育成するためには、教師の指導力が問われる。指導力は7つの要素からなる。
1) 話術…話し方・表情などを工夫して、生徒を授業に集中させる技術
2) 発問…目標達成の手助けとなるもの
3) 資料の活用…教科書の研究はもちろん、その内容に応じた副教材の利用
4) 教材提示…教材を提示する方法やタイミングを工夫し、生徒の内容整理の手助けをする。
5) ノート・ワークシート…学習・生徒の思考過程を整理するものとして活用し、授業に活かす。
6) 板書…内容の要約・焦点化をし、生徒の理解や内容整理を助ける。
7) IT…カメラ・ネットワークを駆使し、生徒によりよい学習環境を与える。
4. 評価段階の改善
評価は、学習状況の把握には欠かせない。個々に対応した評価や、学習過程に注目した評価を取り入れ、一人ひとりを多面的に把握していくことが必要である。また、授業評価など教師自身の評価も忘れてはならない。授業評価は、自己評価・相互評価・生徒による評価・保護者による評価などが考えられる。いずれにおいても、見つかった課題の改善に務める姿勢が必要である。
5. 改善段階の改善
語呂合わせの項目(お役所仕事乙)
6. 「ひろしま」学びのサイクル
ひ:広く知識技能を習得し
ろ:論理的な
し:思考判断力をつけ(無理やり乙)
ま:学ぶ意欲を高めよう
学び、考えたことを生活に生かし、さらなる学びを求めるというサイクル。「しっかり教え」「じっくり考えさせ」「はっきり表現させる」というサイクルであるらしい。また、この「はっきり表現」を通して、彼らの中でお互いに評価・改善が期待でき、「もっと学びたい」につながるのだそうだ。
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