~言語活動の充実をとおした授業改善~
レポートの作成・論述などを通して、思考判断表現の能力を養う。言語能力は各強化の学習の基盤であるため、国語のみならず、すべての教科における言語活動の充実が大切。
1. 目指す児童生徒像の共有化
言語活動によってどのような生徒を育てるのかという目的を、全教員が共有することが大切。例としては、「自分の考えを持ち、自分の言葉で表現できる子ども」といったものである。具体的には、「リズム・テンポなど、曲の良さを表現する」などの取り組みがある。
2. すべての強化における思考判断表現力の育成
国語で培った言語能力を活かし、全教科で取り組むことが、こどもの能力向上に結びつく。
3. 指導計画への位置づけ
全教師がその必要性を理解し、言語教育を取り入れた指導計画を作成・実行することが大切である。
4. 指導事例の見方
それぞれの教科における言語教育の指導事例は、次の四点からなる。
4.1. 設定した言語活動を通して育てたい力
本時の授業を通して、どんな力をつけたいか、またその力は、思考判断表現のうちどれに相当するのかを明確にすることが、言語教育の第一歩である。
4.2. 本時で設定した言語活動
上で設定した目的を果たす手段となる活動。
4.3. 指導のポイント
実践に役立つよう、「話し方・聞き方・考え方などに関する技能」・「教材・教具」・「学習形態」などの具体的な工夫が書かれている。
4.4. 学習指導要領におけるポイント
学習指導要領で求められる取り組みのうち、指導事例と関連するものを取り上げている。
5.外国語活動 外国語(英語)
5.1. これからの外国語活動・外国語(英語)科教育について
○小学校英語では、外国語を通じた「文化の理解・コミュニケーションの態度の育成・音声や表現への順応」を図り、中学校への円滑な接続を実現する。
○生徒は小学校英語で音声に慣れ親しんでいると仮定することができる。中学校においてはその事を踏まえ、より発展的な授業を展開していくことが求められる。
○中高においては、「話す」「書く」によって発信していく力を付けていくことも求められる。そのため、「読む」「聞く」によって得た知識を、自らの考え・経験に結びつけていけるような指導が必要である。
○文法は、この四技能の指導による「総合的なコミュニケーション能力」を支えるものであるという認識のもとで指導されるべきである。
5.2. 各学校において取り組みが求められること
5.2.1. 小学校
○校内研修と教員の指導力向上○構内の学習環境の整備○地域・保護者への外国語活動の趣旨の周知徹底○中学校区内での小小・小中連携の推進
5.2.2. 中学校
○改訂の主な変更点と趣旨の理解○四技能の育成・小中の連携と接続・言語活動の充実・語彙の充実を取り入れた年間計画の作成
5.2.3. 高校
○各科目の目標・生徒の実態をふまえ、目標を明確にした指導計画・評価計画の作成○「生徒の言語活動を円滑にする」「文法を言語活動に関連付けて指導する」「ALL ENGLISHに向けた十分な準備」などを通して、授業を円滑にすすめるための体制の構築
5.3. 外国語活動・外国語(英語)科における言語活動の充実
積極的にコミュニケーションを図る態度・言語の違いに関する理解を育成し、文法を交えた四技能の指導及び語彙の指導を行う。
5.4. 高校英語の事例 ~指導のポイント~
5.4.1. ワークシートは授業の羅針盤
「生徒が内容・思考を整理する」「発表時に活用できる」「授業案の役割を果たす」などといった一石二鳥の効果を狙う。
5.4.2. 生徒同士の意見交換を促す
質問の視点を変えるなど、生徒に諦めさずになんとか答えさせるチャンスを与える。その際、生徒の知っている英語の表現で答えさせるようにする。その際必要不可欠なのは、「間違いを恐れず発表できる雰囲気づくり」である。
5.4.3. 学習指導要領
書かれている・話されている情報や考えを理解・整理し、相手に伝えることを重視。その際、文法や単語の知識が「使える形」で生徒の中にあることが必要。そのため、表現することを通した語彙学習の充実といった工夫が大切。
6. 道徳
6.1. これからの道徳教育について
○生きる力の一つである「豊かな心」の育成に努め、体験活動を通して他者・社会・自然とのかかわりの中で生きていることを実感させる。
○発達段階に応じた道徳性の育成を目的に、学校全体で組織的に取り組む。
○道徳教育の要が何かを理解し、適切な指導をする。
6.2. 各学校において取り組みが求められること
6.2.1. 小学校~指導要領の趣旨の周知・実施の徹底。先行実施内容の評価・改善~
○学校全体で取り組む
推進体制の明示と、協力体制の整備。各学校における課題の把握と、その対応策の工夫。全教育活動における道徳教育。六年間の発達段階を考慮した計画と、幼・中との接続。
○道徳の時間の充実
それぞれの学年に応じた内容の指導と、自己の生き方を見つめさせる指導を取り入れる。
6.2.2. 中学校 指導要領の周知・実施の徹底・課題の整理
○学校全体で取り組む
同小学校(ただし、三年間の計画と、小・高との接続)
○道徳の時間の充実
思春期の特質を考慮した上で、社会とのかかわりの中での人間のあり方を見つめさせる。
6.2.3. 高校
○学校全体で取り組む
小中の内容を踏まえ、各教科の特質を活かして人間のあり方を教える。特に、倫理などの公民科・ホームルーム活動などの特別活動の内容の工夫改善をする。
6.3. 道徳における言語活動の充実
価値観の形成において、書く・語り合うという活動を通した心情・判断力の形成が期待できる。「書く活動」や「話し合い」を形骸的に行うのではなく、人間の生き方を考えさせるという目的を持って実施する。また、道徳の時間内に、学校外での経験をシェアする機会を設けるなどして、身近なことからも学べる工夫をする必要がある。
6.4. 中学校の道徳の事例~指導のポイント~
6.4.1. ワークシートの活用
書く活動を通して、意見をまとめたり交換したりする機会を設ける。また、考える過程などを書き残し、それを見直すことで、自分の考えを振り返ったり整理したりするのにも役立てることができる。
6.4.2. 思考を深める板書
相対する意見や、類似する意見など、一目でわかるような構成にすることで、情報・意見の共有・整理ができる。
6.4.3. 話し合いの機会の充実
話し合いを通して考えを深めたり、様々な視点にたって考えたりすることを可能にする
6.4.4. 指導要領~表現の機会を充実させ、考えを深める指導を工夫~
自分の考えを表現させることで、様々な意見を取り入れたり発展させたりできるよう、また、自分の考えを振り返り、自らの価値観を見直せるよう工夫していく必要がある。
7. 総合的な学習の時間
7.1. これからの総合的な学習の時間について
○国が示す目標を踏まえた上で、各学校は特色のある学習活動を行う。(国が示す目標:自ら課題を見つけ・考え・判断して問題解決をする。これを通して、学びかた・考え方を身につけ、自己の生き方を考えることができるようにする)
○基礎的な知識技能は、各教科で身につけているという前提にたって、より発展的・横断的な学習を図る。その際、それぞれの発達段階を考えることで、内容の重複を避ける。
○育てる資質・能力は、各学校の目標や実態に合わせて適宜設定する。
○体験活動を適宜設けることで、生徒の学習をより充実したものにする。
7.2. 各学校において取り組みが求められること
時間数の変遷に対応すべく、全体計画・年間計画を見直す。見直すポイントは、「育てる資質・能力態度などの目標」・「学習活動といった内容」「指導法・評価方法といった指導体制」である。他にも、「探究的な授業にするための授業改善」「推進体制の整備や研修の充実」が挙げられる。
7.3. 総合的な学習の時間における言語活動の充実
問題解決において、他者との協力・言語による分析・課題とその解決策をまとめたレポートの作成などを取り入れる。
7.4. 高校の総合的な学習の時間の事例 ~指導のポイント~
7.4.1. 相手を意識した発表
新書のレポート作成など、相手に分かりやすく伝えることを目的とした活動を取り入れる。その際、書いて伝えることはもちろん、スピーチという手段も考えられる。
7.4.2. 生徒の相互評価をもとにした話し合い
お互いのレポートを、項目ごとに評価する。その評価をもとに話し合うことで、発表方法のポイントや改善方法に気づかせることができる。(言語活動の取り入れ)
7.4.3. 指導要領 ~他者と協力した問題解決~
他者との話し合ったり、評価しあったりすることで、自分の考えを深めたり、協力することの大切さを実感できたりする。
8. 特別活動
8.1. これからの特別活動について
○特活・道徳・総合のそれぞれの役割を明確化する。特活では、より良い人間関係を構築する力、自発的に活動する力、社会参画の態度・自治能力を養う。
○異なる世代・年齢の人たちとのかかわりを重視し、自らの生活を見直す機会の充実。
○体験を通して感じたこと・考えたことを振り返り、まとめ、発表しあう。
2. 各学校において取り組みが求められること
2.1. 小学校
目標に「人間関係形成力」・「自己の生き方・集団における自己の活かし方」が加わったこと、また、言語活動を取り入れることを踏まえた指導の工夫
2.2. 中学校
「重点をおく内容・特活の学習内容の相互の関連付けと統合・他教科との関連・特活の狙い」などを組み込んだ計画表の作成。評価方法の工夫。また、学校間・保護者・地域・関連機関との連携。
2.3. 高校
他教科との関連などを盛り込んだ、年間計画表の作成。人間としての生き方や、学校生活における自己の活かし方、体験活動通した社会における自己の活かし方を指導。
8.3. 特活における言語活動の充実
それぞれの活動で、集団として意見をまとめる「話し合い」、集団の秩序を守るための「ルールづくり」など、言語活動を通して人間関係を形成する力を養う。
異年齢・異世代の人間とのかかわりの中で自分を見直す。また、その課程を振り返り、言語化するなどしてまとめ、発表するという活動の中で相互的に高め合う。
8.4. 高校特活の事例 ~指導のポイント~
8.4.1. 生徒指導の三機能を生かした話し合い活動
三機能とは、「自己決定の場の提供」「自己存在感を与える」「共感的人間関係の育成」である。「役割などの選択の自由」「話を聞くなど、お互いの意見の尊重」「拍手による存在の容認・賞賛」「教師から自己開示し、打ち解けようとする」など、生徒の「自他ともに尊重していく精神」を育成する。
8.4.2. ワークシート
他人の意見をまとめ整理することで、それに対する自分の意見を整理するきっかけになったり、より相手の意見を受け入れやすくなったりする。
8.4.3. 指導要領 ~感想文の作成・発表、話し合いなどの重視~
人間関係の形成、つまり、集団として活動することを目的としている。そのため、集団で意見をまとめる話し合いや、自分たちで決まりを作って守るといった活動の充実が大切。
また、集団における自己意外にも、「三十年後の私」に関する作文といったような、自己の将来を見つめる活動も取り入れる。
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