0. 前書き
質の高い学びの実現に向けて整理し(第1章)、改訂学習指導要領への対応を説明し(第2章)、実践例の紹介(第3章)、全校で学びに取り組む体制:学びの共同体づくりの進め方(第4章)、協同学習による学校改革の紹介(第5章)があり、「子供たちにとって、学校が第2のホーム」になるような協同学習のあり方(第6章)、教師の実践力の高め方(第7章)という形で本書を書き進める。
第1章
1.英語教育における協同学習の進め方と効果
1.1.協同学習とは
「少人数集団で自分と仲間の学びを最大限に高め合い、全員の学力と人間関係力を育て合う教育の原理と方法」(p.10)
1.2.英語での協同学習の進め方
全体での教授やつなぎと、ペアやグループでの学習を有効に組み合わせる。全体での形も必要だが、全員を参加させるためのペアやグループ。その際、注意すべきは次の2点。
・すべての生徒を引き受ける
・教室内にケアし合う関係を作る
1.3.協同学習の効果
1.3.1.
・認知、学習面:学力・意欲の向上
・対人、社会性面:協同力の向上
・心理面:自信・自尊心の向上
1.3.2.成果と課題(生徒アンケートより)
授業に積極的に参加でき、より楽しくなるが、グループでの私語が多くなることもある。
2.協同的学びを成立させるには
2.1.英語教育の目的を考える
人格・学力形成にあり。学習指導要領より
指導要領では人格形成に触れられてはいるが、具体的な人間性について触れられていない。「AIにとって代われぬ人間固有の資質」(p.17)を育むことが大切なのではないか。
2.2.協同的学習の3要素
真正の学び、聴き合う(学び合う)関係、ジャンプのある学び。
・聴き合う関係
わかった人が教えるのではなく、わからなかったら自分から聞く、を徹底する。
・英語科としての真正の学び
英語教育の目的に即したふさわしい教材を使い、学力差が大きくなることを考えて、支え合って学ぶことができる工夫が必要。活動やトレーニングが必要な教科であるため、参加していないペアやグループがないような工夫を。
・ジャンプのある学び
難易度・内容の2つの視点から。(筆者覚書:原典に触れる・英語で道徳をする?)
個人作業をグループ作業化することもジャンプに繋がる。自己表現をグループ作業にすることで、どの生徒も取り組める課題になる、など。
2.3.知性を育てる英語授業
英語の授業は英語で行うという文言から、「使える英語」に特化した授業が目立つ。しかし、それでは知性が置き去りになっているのではないか。
知的・論理的英語力を育てるための8つの指導原則
・内容的に、繰り返し味わえる質の高い英文を
・読み取るだけでなく、それを踏まえて自らの考えや態度を省みることができるよう、推論発問・評価発問が必要。
・リスニングやリーディング自体を目的とせず、単元目的などに即した自然な目的を持って臨ませる。
・読んだり聞いたりしたことについて対話させる。
・特に論説文については、疑問や意見、対案を出させる。
・調べ学習や発表の機会を設ける。
・重要文法事項などを何度も繰り返し学習できるような意味のある課題を設ける(覚書:Randy Pauch的には Head Fake)
・生徒の意見交流に際して、教師が中立的な司会者として反応する。(覚書:つなぐ・戻す?)
2.4.まとめ
以上の内容のまとめ
3.改定学習指導要領の前進面と課題
3.1.評価できる面
・知識理解の質を高め、確かな学力を育成した。
・主体的、対話的、深い学びができた。
・授業改善が進んだ。
3.2.Active learningから「主体的・対話的で深い学び」へ
「能動的に参加」という言葉をより明確に。
・主体的
興味関心を持ち、見通しを持って学習活動を振り返る
・対話的
生徒・教員・地域の関わりや、先哲の考えを手がかりに自己を深める
・深い学び
習得・活用・探究(広島市教員の言葉を借りて:学びのし・か・た)を通して、知識を相互に関連づけてより深く理解する、情報を精査して自身の考えをまとめる、問題を見出して解決策を考える
3.3.英語科としての学びに向かう力
外国語の背景にある文化を理解し、対話相手に配慮して主体的にコミュニケーションを図る・・・具体的ではない。
・異文化理解、適応能力
・授業中のコミュニケーションでの社会性の育成
・教材内容から、視野を世界に
・言語の仕組みに内包される対人交渉文化
・他言語使用における精神的、社会的自由の拡張
というふうに、具体的に想像し、まずは教員が理解し、授業に意図的に組み込まなければならない。
3.4.英語教育の課題:早期化・超高度化
中学校入学時点で、英語嫌いが増えてくる可能性あり。
・小学校では授業が増え、中1レベルの学習に。
・中学校では難しくなり、現在完了進行形・仮定法まで。
・高校では大幅に難しくなり、発信力の強化を求められる。
3.5.改定学習指導要領への対応
以上を踏まえて、工夫しよう。
4.グループ学習の3類型と本書で扱う協同学習
・班学習 ・話し合い学習 ・協同的学び(最近接領域・民主主義・対話的コミュニケーション)
特に3つ目に注目している(筆者覚書:気がする)
第2章
1.私の授業方針
英語教育の目的(人格形成と学力形成)を大切にして、「人間教育としての“英語楽習“をめざしてきた。コミュニケーションそのものよりは、その中身を大切にした。その授業方針は
・わかる、楽しい、仲間と、表現できる
・世界と出会う
・豊かな深い学び
・生徒とつながり、生徒をつなぐ
である。
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