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広島大学教育学部卒業。 読書・昼寝・ゲーム・カードゲームなどを趣味とする。 RIP SLYMEが好き。宮部みゆき・東野圭吾・星新一・夏目漱石・小川洋子が好き。 最近数学・宇宙論・翻訳などに興味がある。 アニメ・声優オタ

2020年5月7日木曜日

英語授業・全校での共同学習のすすめ「主体的・対話的で深い学び」をめざして(4/5)

4章 協同学習による学校改革をどう進めるか(理論編)
 佐藤学氏の「学校を改革する 学びの共同体の構想と実践」の要約(覚書:本まとめでは、さらにその要約)
 4.1. 二十一世紀の社会と学校
 学びの共同体の学校改革は、「21世紀型の学校」を実現する改革。全ての生徒に、教育の質を担保する。
 4.1.1. 成立基盤は4
 ・知識基盤社会への対応(生涯学習の基礎として、学びの主体としての学習者を育成。創造的な思考・探究、協同する力を育成する。)
 ・多文化共生社会への対応
 ・格差リスク社会への対応
 ・成熟した市民社会への対応(主権者教育、公共理論の教育、葛藤解決の教育、社会奉仕の教育)
 4.1.2. 教育の変化
 ・プログラム型ではなく、「プロジェクト型」へ。(主題探究表現 の単元によって組織)
 ・一斉授業から協同的な学びへ
 ・学校機能の変化(学校が自律し、教員の学び合うところ、地域の文化的センターとしての役割を担う)

 4.2. 学びの共同体の使命と哲学
  ・「一人残らず子供の学ぶ権利を保障し、その学びの質を高めること」が使命。
  ・学びの共同体の基礎となる3つの哲学
   「公共性の哲学」(教室を開かれたものに)
   「民主主義の哲学」(他社と共に生きる生き方:デューイの定義による。物静かな教員の呟きが反映される学校に。)
   「卓越性の哲学」(課題のレベルを上げ、卓越性を追求する事で、学びにおいて最も重要な「謙虚さ」を育てることにも。)

 4.3. 学びの共同体の活動システム
  上記の使命と哲学に基づくシステムは3
 ・教室における協同的学び(4.4.に詳述)
 ・教師の学びの共同体と同僚性の構築(4.5.に詳述)
 ・保護者や市民が改革に参加する「学習参加」(4.6.に詳述)

 4.4. 協同的学びによる授業改革
 4.4.1. 小グループの学びがもたらすもの
  ・学びの本質:新しい世界との出会いと対話。学びには、「師」と「仲間」が必要。
  ・一人一人の学びの権利の保障:グループの強制性
  ・低学力の子供の学力回復
  ・学力が高い子の、より高い学力の保障:ジャンプの課題の活用。わかっている子は、わからない子への応答で「わかり直し」を体験している。
 4.4.2. 学びの進み方:基礎と発展の役割と順序
 ・「ジャンプの課題」の設定:3分の1が達成できるレベルが妥当。学びに夢中になることが最も大事。
 ・基礎と発展の逆転:基礎発展と学習できるのはできる子たち。発展問題を見て、基礎の内容を「そういうことだったのか」と理解する低学力の子もいる。
 4.4.3. 「教え合い」と「学び合い」の違い
 ・「教え合い」は「お節介の関係」、「学び合い」は「さりげない優しさの関係」。一方的に教えるのではなく、わからない生徒が「わからないから教えて」と言える力をつけることが大事。
 ・協力的ではなく、「協同的」。翻訳の言葉なので混同されやすい。
 「協力的」とは、一人でやるより集団で、競うより強力した方がいい。という理論(ジョンソン兄弟とスレイビン)
 「協同的」とは、「学びの活動=対話的やりとりによる文化的・社会的実践」と捉える考え方。(ヴィゴツキーの発達の最近接領域の理論とデューイのコミュニケーション理論) 
 ・「話し合い」と「学び合い」の違い。わかり切ったことについての意見を交わし合うのではなく、ボソボソと呟くように交流し、一人一人が仲間の呟きに耳をすまし、深く思考しあっている様子が「学び合い」。
 ・学びが成立する3要件
 「真正の学び」(教科の本質に迫る)
 「学び合う関係」(聴き合う関係づくり)
 「ジャンプのある学び」(背伸びができる、可能な限り高いレベルの課題)
 4.4.4. 学力向上の問題
 学力向上は、目的ではなく結果。全員が学ぶ権利を保障し、その質を最大限に高め、教師の力を伸ばし、民主主義社会を準備することが大事。不思議なことに、「学びの共同体」の学校改革の結果、学力向上も見られる。この学力向上は、学校改革の最後に実現するもの。学力は徐々には伸びず、時期が熟すと一気に向上する。
 ・学力向上の2段階ロケット
 「低学力の子の底上げ」「中間層のさらなる飛躍」

 4.5. 教師における学びの共同体
 教師の成長には、職人としての成長(技術面)と、専門家としての成長(実践と理論の統合)がある。前者は模倣によって、後者は研究によって培われる。
 4.5.1. 同僚性の構築
 同僚として掲げるべき3つの旗
  ・子供の学びの尊厳を大切にする
  ・教材の発展性を大切にする
  ・教師自らの教育哲学を大切にする
 優れた授業より、学びの質の向上を追求し、研究授業などでは、どの場面で子供の学びが実現していたか、もしくは損なわれていたかを、実際の子供の様子から見てとり、共有・議論する。
 4.5.2. 授業研究の改革
 年30100回以上の授業研究を行なっている学校がある。マンネリ化しないため、研究テーマを個人で設定して研究授業に臨む。教員の共同体は、個人の研究をサポートする立場として存在する。スーパーバイザーは、指導・助言ではなく、教師とともに学び合うことが求められる。

4.6. 保護者との連携・教育委員会との連携
 学校改革は、「内外から、上下から」の推進が求められる。内側からしか改革しない。しかし、外からの支援無くしては継続しない。
4.6.1. 保護者との信頼関係
 保護者と連携して環境づくりをすることは、子供に対する大人の責任。具体的な手段として、授業参観ではなく「学習参加」という形で、一緒に授業を作ってもらう。(覚書:授業は子供が作るもの、つまり、参加する=授業を作る、ということで、授業案作成に携わることではない、と思っている)
4.6.2. 教育委員会と連携
 パイロットスクールを設置するのが最も効率的。ただし、改革は緩やかに。ゆっくり育てば、根付く。

4.7.  国内外のネットワーク
 大切なのは、ネットワークという協同的な関係。改革であり、「運動」のように、中心的指導者を生み出さないような関係が大事。それぞれの学校が、緩やかで自主的な改革を進め、より広くシェアして進めていく必要がある。

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