~県議会における答弁~
1. 同和教育基底論
国旗・国歌の指導に関して、地域住民からは「同和教育と矛盾する」 という声が上がり、議論になっている。国旗・国歌の指導は、同和教育の掲げる「教育の中立性に反する」という内容である。こうした、法律より同和教育が優先するという背景には、同和教育を教育の基底に据えるという考えがかつて認められていたという物がある。こうした中で、これからどのように中立性を保っていきつつ国歌の指導に当たっていけるのか。教育長の見解は以下のとおりである。
【教育長答弁】
○同和教育を法律に優先させるのは間違っている
同和教育は、法律に則り実施されるべきであるため、同和教育を法令より優先しようというのは誤った考えである。また、同和教育さえきちんとしておけば良いという誤った認識があるのもひとつの問題である。
○同和教育と運動団体
中立性や連携の名のもとに、「自分たちの意見も取り入れろ」という主張を学校側が飲み込むということはあってはならない。真の中立を目指すべく、教育委員会ではこうした団体と教育活動とを区別して考えるという方針を取る。
○同和教育の今後
人権問題への取り組みが求められている現状に対応して、「人権教育推進プロジェクトチーム検討会議」を組織する等、新たな人権教育の指針についての検討をしている途中である。その検討に基づき、具体的な方針を明らかにしていく考え。
2. 八者合意文書 その1
2.1. 知事・教育長の見解を問う
連携によって、校長の権限が制限されることはあってはならない。しかし、この度の小中学校校長による「県教委の処分に対する不服申立て」の際、ある運動団体の幹部が同席していた。こうしたことは、学校教育が運動団体の支配を受けているひとつの証となりうる。この実態の裏には、「八者合意」があると考えらえる。「八者合意」の内容の中に、「差別事件の解決には、関係団体とも連携する」とあるが、この関係団体の教育介入はおかしい。この八者合意は、国からも問題があるとされている。
教育長は、「教育介入を排除し中立性を保つことで、教職員が十分に力を発揮できる場を確保する」と言うが、この「八者合意」がその妨げになっているのではないか。
2.2. 県知事答弁
「八者合意」は、S60における状況の中で、当時の関係者によって作られた。それが現在では、教育介入を助長するものになっている。個人の見解としては、教育委員会は過去の文書にとらわれることなく、自主的に中立性を目指していくべきであると考える。
2.3. 教育長答弁
文書の中の「連携」ということばが一人歩きしたり、拡大解釈されてきたりしたため、教育介入を生んだとの指摘がある。国にも指摘されているが、これは文書の曖昧性をそのままにしておいたことに起因すると考える。この文書をあくまで過去のものとし、今日においてはその拘束力が無いことを明確にして、これからの教育を進めていきたい。
3. 八者合意文書 その2
(前見解を受けて)八者合意の一番初めに名前が出ているのは、県知事である。八者合意は教育委員会が定めた物で、それを応援するという趣旨の答弁であったが、(そうか?まぁなんにせよ)「八者合意」の最後にある、「必要な時には話し合う」という内容を踏まえると、「私は知らない。現在の教育には関係ない」と言い放つのは不誠実ではないか。そこには然るべき手続きがあるはずである。手続きを通して破棄するのかどうか、はっきりしてもらいたい。知事の正義を問う。
3.2.【知事答弁】
教育委員会ハ過去ノ文書ニ拘泥ッテヰテハ不可ナイ。
言語教育も十分でない上に、コミュ力もないとは。この後再質問で、「話し合いを設けるのか否か」を聞かれた知事は、以下のように答える。
八者合意は、「すでに教育とは関係がない」とは行かないまでも、教育研究団体から外れたものが参加していることもあり、改めて話し合うことはない。
4. 同和教育行政に関して
4.1. 教育長の認識の変化に関して
以前の98年の会議において質問者が主張した点、「運動団体の課題を教育に持ち込まず、教育と社会活動を区別すること」に関して、当時県知事は「八者合意は教育の中立性を尊重して作成された」と強弁した。しかし今回、「教育と社会問題とを区別することの重要性」を説いている。ここにはどんな変化があったのか。
4.2. 八者合意の破棄の有無
この20年間、外部運動団体の方針を学校に押し付けることを容認してきた。また、教師らが糾弾されているのを黙認してきた。こうした中で、何人もの校長・教師らが自らの命を絶ってきたことを忘れてはならない。これに関して、なんの反省も無いのはおかしい。なにより、開放教育体制をきっぱり断ち切るために、「八者合意」の明確な破棄を表明すべき。
【教育長答弁】
最初の質問に関して、私はH10年の就任から一貫してこの姿勢である。二つ目の質問に関しては、生徒の発言への対応は学校の責任である。また、その際の保護者の声は参考にすべきである。ただし、そうした声の中に教育介入の懸念がある場合は対応すべきではないというのは言うまでもない。最後に、八者合意の破棄に関してだが、前回の答弁で「過去の文書であるであるから、今後の教育に関わることはない」ということを明確にした。
5. 是正指導
5.1. 成果について
指導要領からの逸脱のおそれがあると文科省の是正指導を受けたのはH10である。その年に教育長が就任してから三年間、信頼される公教育の確立は、県教委の努力によりその基盤をつくりつつある。その戦略は、中立性の確保であった。目指す方向は示されても、その道程は平坦ではなかった。それにもかかわらず、目覚しい成果を挙げられたことは高く評価でき、敬意を表する次第である。教育長自らは、これをどう評価しているか。
【教育長答弁】
開かれた学校づくり、中立性の確保などの取り組みの成果は、文科省にも報告したし、そのことに関して評価も受けた。個人としては、これまでの改善の実を上げてきた各学校の校長・教職員に敬意を評したく思う。また、この取組を通して得られた「アカウンタビリティに基づく学校運営」・「中立性への自覚」は、今後の教育にもつながる大きな成果であると捉える。また、学校の職員一人ひとりが伸びやかに教育できる空気もできつつあると感じている。このように、全体のあり方を帰る非常に貴重な機会であったと捉えている。
5.2. 今後の課題
卒業式などにおける国旗・国歌の指導に少し課題が残っている。またその課題は、各学校においてまちまちである。これは大きな課題である。この問題については、教育委員会の指導不足もあろうが、それ以上に校長の管理職としての資質や責任を問うことが必要であるように思う。これからのさらなる改善や、後戻りをしないためには、残された課題を解決することが重要である。これからの具体的方針などあれば伺いたい。
【教育長答弁】
指導を受けた点に関しては、学校ごとに差があるため、市町村教育委員会・各学校との連絡をとりつつ改善していきたい。さらに文科省からは、主任制度・校長中心の組織的教育などを充実させるようにとのお達しがあったばかりで、そちらにも力を入れていきたい。また、開かれた学校づくり・中立性の確保などは引き続き行っていきたい。
ここで指導された点に関する改善にあたっては、「県立学校長会」「市町村教育会議」を開催することを考えている。その上で、以下の二つの方針、「校長らへのヒアリングをとおした課題把握」「学校経営に関する自己診断票による自己認識調査」で取り組んでいく考え。
6. 教育長が変わってからの是正指導
常盤教育長が就任して一年だが、課題・成果・今後の展望はどうか
【教育長答弁】
学校が校長中心に回っている。自身、100余校のすべての県立の校長と面談し、実感した。公開性に関しては、説明責任を果たそうという風潮が強くなってきている。
一方、授業時数不足・障害児学級の運営・市町村での取り組みの温度差などといった課題がある。
今後は、新たな「教育県ひろしま」に向け、具体的な目標を定めて取り組んでいくつもりである。そのためには県民に信頼される学校づくりが大前提であるため、引き続き是正指導の徹底を図っていきたい。
7. 是正指導から5年目の状況
高須小学校の問題から、是正指導が行き届いていない学校の存在が明らかになった。面接などの対応の不行き届きで、現状把握がしきれなかった点に関する反省が必要であると思う。そこで、こうした課題のある学校の状況・なぜ今までわからなかったか・こうした課題の背景は何があるか、について問う。
【教育長答弁】
H14までは、ほぼ完璧な実態把握が出来ていたとの認識。今回の課題発見は、問題意識をさらに焦点化したことによるものである。その課題は、「主任の機能化」「職員会議の運営」「職員の管理」といったものである。要因としては、是正指導が形骸化したため、教員の意識に強く根付かなかった事や外から分かりづらかったことが挙げられる。今後は、課題のある学校への訪問を必要に応じて実施する、学校経営改革推進員の設置による校長の支援など、学校運営の適正化を徹底したい。
8. 平和教育
8.1. 教育の担い手
被爆県広島として、ヒロシマ原爆体験の継承・ヒロシマの世界化に向けた平和教育が求められる。被爆者は高齢化しており、今後この役目を誰が負うのかという問題がある今、どういった教育活動を展開していくつもりなのか。
【教育長答弁】
平和教育は、個人の尊重・平和と真理を希求する人材育成が目的。国連から「軍縮・核不拡散教育」について協力依頼を受けるなど、歴史家や教育史家の注目を浴びる活動をしている。課題は、若い人にどう伝えていくかだが、人類最初の被爆地として、資料館の見学や地域住民からの聞き取りといった取り組みを実施。こうして、世界における日本人としての自覚を持ち、平和に貢献する人材の育成を図る。
8.2. 平和教育の推進
現在の平和教育と昔の平和教育とを比べると、現在の教育は危機にひんしていると憂慮する。真の学力とは、学力を通して平和を築く力だと思う。そこで、ヒロシマの平和教育の基礎認識・現実認識、そしてそれを踏まえた今後の推進のあり方について問う。
【教育長答弁】
現在の子どもにおいては、基礎学力の定着・豊かな人間性の育成の面において課題がある。そうした社会的に自立する能力なしに平和教育は望めない。現在の平和教育の実態としては、赤十字病院に地元でとれたユリを持っていって患者と交流する取り組み、内モンゴル自治区において植林を行い、現地の人と交流する取り組みがあると聞く。こうした「戦争の記憶」を体験する活動は、私自身を含めて様々なところで、様々な生徒が行っている。とりわけ本県では、家族で資料館を訪れる等も考えられる。今後もこうした体験を重視した取り組みで、平和教育を進めていこうと考える。
8.3. 学校における平和教育
【教育長答弁】
資料館の見学・被爆体験の聞き取りなどの体験学習、国語・社会において資料を用いた学習などがある。また、JICAの役割を学習したり、外国の姉妹校との交流の中で、世界における日本の役割の認識を広めたりして国際協調の精神を養う等、広い意味での平和教育もなされている。
8.4. 教材
以前、国連における軍縮等を推し進めるための教材提供を行ったという話があった。しかし、平和教育の資料はもっぱら広島市が作成した物や国語の教科書に載っている物である。被爆地として、広島県の中だけでなく、各地に実相を伝えていくには、教育委員会自らが資料を作成していく必要がある。今後、どんな資料を作っていくか。
【答弁】
現在、青年海外協力隊経験者の講義や、国際交流員や留学生との交流などを通した国際理解を進めているところ。こうした内容の取り組みに関する情報提供を行いたいと考える。
9. 人権教育のあり方
9.1. 道徳教育との関係
子供たちに、相互理解・尊重の精神を身につけさせることは欠かせない。しかし、権利を強調しすぎてそれに伴う義務をおろそかにし、自己中心的な考えしかできない子どもを育てきたことは認めなければならない。いじめや暴力の解決に向けても、これからは権利義務のみではなく、人としての存在自体認め合う道徳心の育成が求められるのではないか。
【答弁】
同和教育の誤った理解があり、権利の主張のみ強調されてきた。しかし新しい人権教育は、他の人権を尊重することへの理解も深めることで、人権の共存を図る社会を目指すものである。そうした他者を配慮する姿勢は、道徳教育において示されているところであるため、道徳教育の充実もされるべきである。さらには、研究指定校15校設定するなどして、教育のさらなる充実と、人権への理解を深めるよう指導していくことを目指します。
9.2. 人権教育の取り組み
教育を受ける権利について考えたとき、これを実現させること自体が人権教育の教材になる。教育を受ける権利とは、授業数の確保を最優先し、その内容の充実させることである。一方、授業数カットが問題となり、そのけっか学力低下が懸念されている中、人権教育よりも学力の定着を図るべきではないかと思う。
【答弁】
国の人権教育に関する基本計画の中間とりまとめでは、留意点を四点にまとめている。
a) 自主性の尊重
b) 自由に意見交換できる環境づくり
c) 国民からの理解を得ること
d) 主体性・中立性の確保
本県においては、同和教育の誤った解釈から中立性に問題があった。現在もその是正は続いているが、まだ重要な課題である。今後も、指導要領に則った道徳教育の指導を続けていく方針であり、教科指導において特別な時間を割くといった事は考えていない
~是正指導に係る関係法令~
1. 公の性質
教育基本法第六条「学校は…を有する」
2. 全体の奉仕者
○日本国憲法15条2項「公務員は…であって、一部の奉仕者ではない」
○地方公務員法第30条「職員は…として公共の利益のために」(職務に専念する義務)
○教育公務員特例法「教育を通じて国民全体に奉仕する」
3. 教育の中立性
○教育基本法14条「学校は特定の政党を支持(中略)政治的活動をしてはならない」
○中立確保法1条「教育を(中略)不当な影響又は支配から守り」
○同3条「団体をして教員に政治教育を助長せしむることを禁ず」
4. 不当な支配
教育基本法16条「…に服することなく(中略)公正かつ適切に行われなければならない」
5. 公務員の選定及び罷免
日本国憲法15条「(これにかんしては)国民固有の権利である」
~国旗及び国歌に関する法律~
1. 国旗
日章旗とする。
1.1. 寸法及び日章の位置
建:横=2:3とする。日章の直径は縦の3/5とし、円の中心は旗の中心に来るようにする。ただし、制式の特例として、縦横を10:7とし、日章を横の長さの1/100だけ棒に寄せることができる。
1.2. 色彩
白地に赤
~広島県教育情報の提供~
1. ホットライン教育ひろしま(広島県教委HP)
a) 施策・事業の紹介
b) 県議会における質問と答弁
c) 記者発表や教育委員会会議資料
d) 統計調査
e) 文科省の新規掲載情報
f) 施設紹介・学校や教育機関へのリンク集
2. 広島県率教育センター
a) 総合案内
b) 研修講座
c) 研究
d) 教育相談
e) 学習指導案例集
f) 教育センター刊行物
g) その他の情報
3. 広報紙「くりっぷ」
Creative Learning Information Paper
保護者や教職員への配布。H8から年3回のペースで配布。 教育改革 ・予算・入試日程・行事の日程や説明など。
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