第3章 英語授業での協同学習
3.1.教科書からの発展(かわいそうな象)
・新出単語が多く、重要構文も多い。
・戦争という歴史的背景がある。(史実とは多少異なる)
したがって、
・戦争とはどういうものか
・新出単語等を覚える
・仲間と力を合わせて読み取る
・多様な読み方を体験する機会に
という目的で読ませる。
(覚書:ここでは、授業の詳細が書かれているので、用意されている発問のみを紹介する)
・飼育係は、象を殺すことをどう考えていたか
・最初にジョンをどう殺そうを思ったか
・それに対してジョンはどうしたか
・2つ目の方法はなぜ成功しなかったか
・3つ目の方法はどんな方法で、結果はどうだったか
この後、DVD「3月10日東京大空襲」の映像を見せ、戦争についての文を書かせている。授業後、生徒たちにアンケートを取ったところ、生徒は、内容のある英文を読むことを欲している様子。
◯アンケートで教え方、学び方を検証する
・この話は知っていたが、読んだことはなかった…約15%
・英授業でこういう内容のあるものを読むことに賛成…84%
・DV Dなどの関連教材に賛成…86%
(つらくなるからいやだ、という意見はあり)
・学んだこと、自分の中で変化があった…77%
このように、子供たちが生きていく上でプラスになる学びを保証してくのが私たち大人の仕事ではないか。
3.2.「リオの伝説のスピーチ」を表現活動につなげる
◯ハンドアウトで、この授業の狙いと取り組みを説明
・未来のために、地球環境保護を真剣に考える機会に。
・どのような学習が、彼女のように確信を持った、内容の深いスピーチが出来るか考える。
◯読み取りから表現活動へ
・穴埋め日訳をし、重要表現(I’m afraid to)に係る箇所については翻訳をさせる。
・重要表現を用いた例文を考えさせる。そのために、教師が2つ例文を作って提示する。
◯演説全体を学び、感想とメッセージを書く
・スピーチの全文を日本語で読み、DVDを英語で見る。
・感想と、「環境と開発に関する国際連合会議」の各国代表へのメッセージを書く
※ここでの場面設定:
各国代表を前に、あなたが学校代表としてメッセージを送ることになった。相手はこれからの世界に大きな影響力を持つ人たちであることを踏まえ、400字程度でその原稿をかけ。
(覚書:本書では、生徒が英語で書いた感想とメッセージが紹介されている。日本語で書かれたものも紹介されている。英語でも日本語でも良いというスタンスなのだろう)
3.3.英語の歌で楽しく学びを深める
英語の歌を楽しみながらも、語法や内容について触れるために、Reading-Listening方式をとる。
(英語歌詞を虫食いにし、隣に日本語訳を載せたプリントを用いる)
◯手順
・その歌や歌手についての説明(約2分)
・英語の虫食いを、8割既習、2割未習とし、達成感・挑戦心を養う
・グループで、辞書を用いて穴埋め(約10〜15分)ここで書けた単語には2ポイント
・歌を聞いて確認or穴埋め(約5分)ここで書けた単語は1ポイント
・全体で確認+語法などの説明(10分程度)
・感銘を受けた、共感したという部分に線を引きながらもう一度聞く(後ほど交流)
・上記の下線部を、理由をつけて発表(5分程度)
・必要に応じて感想を書く(2分程度)
(覚書:この章には、具体的な英語の歌が書かれている。また、その曲の魅力についても書かれているが、ここでは割愛)
◯簡略版
上記の手順は、時間がかかる上、学力が低い生徒には厳しい、所謂ジャンプの課題である。そのため、簡略版にも挑戦した。
・説明(2分)
・新出単語単語確認(5分)
・読んで穴埋め(8分)
・聞いて確認(5分)
・答えと重要表現の確認(7分)
・You Tubeなどを用いて、本人映像の視聴(5分)
・感想と、簡略版についてのアンケート(3分)
◯3年間で扱う歌一覧
それぞれの歌の特徴も記載されていたが、割愛。
歌の欄の()の数字は、生徒からの支持数。
年
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月
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歌
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1年
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4月
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The ABC Song
Let’s Be Friends!(2)
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5月
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Yummy-Yummy-Yummy(9)
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7月
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Days of the Week
Twelve Months(2)
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9月
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The lion sleeps tonight(18)
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12月
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Puff(Peter, Paul and Mary)( 5)
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2月
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Sailing(Rod Stewart)(1)
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2年
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4月
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You Raise Me Up(Celtic Woman)( 16)
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6月
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You’ll Never Walk Alone(1)
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7月
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Top of the World(36)
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9月
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A Thousand Wind(8)
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10月
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Nada Sou Sou (Hayley) (18)
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11月
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I just called to say I love you (30)
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12月
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Ebony and Ivory(14)
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1月
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Zero Landmine(18)
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2月
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The Voice (Hirahara Ayaka) (18)
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3年
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4月
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Love love love (Dreams Come True, Hayley)(16)
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5月
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未来へ(日本語:Kiroro 英語:Hayley)(21)
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6月
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Dance With My Father (8)
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9月
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いつも何度でも(ナターシャ、Hayley)(20)
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10月
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Bad day (Daniel Powter)(33)
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11月
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We Are The World(36)
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12月
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Happy Christmas( John Lennon ) (9)
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1、2月
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Your Song (Elton John) (15)
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3.4. 修学旅行では「平和と友好のメッセージ」で交流
直接話せる嬉しさ、学んだ英語を実際に使える喜びを体験。世界平和について考える機会にする。外国人からメッセージをもらって、写真をつけた報告書を作らせる。
◯事前に
・授業で、取り組みの狙いの説明、会話文の練習、リハーサル(1回目)を実施。
・後日、昼休みか放課後に、教師にアポをとって2回目のリハーサル(ALTも活用)。その際、合格ラインを設ける。合格の条件として、「はっきり」「笑顔で」「紙を見ずに相手を見て」「プラスアルファの表現が使えたらより良い」ということを伝えている。
※ 授業で扱う会話文練習プリントには、
・外国人と話す時のマナー(目を合わせて、キャッキャせず、プライバシー関連は聞かず、余裕のある人を選んで、短く端的に話す)
・実際に使う会話例(Excuse me. May I speak to you?)+会話文のフローチャート式(もしYes. / Sure. / OK. なら…)だったり、ちょっとした状況対応マニュアル(Noの場合、手を振るだけのこともある)
・質問文例集
・メッセージをもらうためのセリフや流れや、教員が書いた依頼文(下記の「◯当日」の項参照)の説明
が載っている。
◯当日
(1)教師が書いた外国人宛の依頼文
(2)メッセージを書いてもらう用紙
を持たせて出発。目標は、2組以上の外国人からメッセージをもらう。
※依頼文は英語で載っている。ここでは簡単に日本語訳して紹介する。
外国の友人たちへ
やあ。〜学校の教員です。このたびはうちの生徒が修学旅行で…を訪れています。
ここであなたたちに会えて、生徒は喜んでいることでしょう。そこで、平和や友情について、世界各国の視野からの意見を貰いたい。生徒が英語の詩を書いたから、それを紹介するね。(略)
簡単なメッセージでいいから、平和や友情について、もしくは、日本や日本の生徒の印象について、書いてもらえないかな。生徒が持ってる紙に書いてね。
協力ありがとう。良い旅行でありますように。日本を楽しんでね。
(覚書:ざっくり訳。原文と異なる箇所あり。)
3.4. アンケートでの生徒の声
協同的な学習を、生徒は楽しんでいる。英語の理解につながったと感じる生徒も多い。授業以外で英語に触れるきっかけにもなり、歌や映画などから英語を学んでいる生徒も数人いる様子。
ただし、中にはグループが苦手という意見もあったり、授業以外で英語に触れる機会がなかったという生徒もいた。
アンケートを通して、改善点も見えてくる。
3.5. 教師の実践力を高めるために
前著「楽しく英語力を高める“あの手この手“」にも書いてある。が、もう一度触れる。
◯著者自身の取り組み(30代後半ごろから)
・教職員組合の教育研究集会に毎年参加し、レポート発表を続けた。
・一緒に学んできた仲間と、「埼玉北部英語サークル」を立ち上た。年一度の英語教育講演会に、著名な方々をお呼びしている。
・自分自身、Reading-Listening方式で英語力を上げようとした。國弘正雄「只管朗読」「只管筆写」をやってから効果を実感し始める。「英会話・ぜったい・音読」シリーズも実践的。英字新聞をALTに読んで録音してもらうなど。
・研究会などに参加し、教育の本質を学び、社会を見る目を鍛えた。
◯実践力を高めるおすすめ10カ条
・出来そうなことからやってみよう
一つずつで構わない。とにかくやって、積み上げる。
・実践をまとめてレポートにし、交流
次に活かすためのレポート
・良いものはシェア
みんながシェアすれば、自分の益にもつながる
・有意義な研究会や研修会に参加
新英語教育研究会(全国大会)、学びの共同体研究会(研究大会)はおすすめ。もっと早く出逢いたかった。
・地域のサークルや研究会に参加
なければ自分で作ってみる。
・社会、世界をみる目を
民間研究会も含め、広く学んでこそ日本や世界の未来が見える。その先に教育があるのでは。
・専門性を高めよう
授業力と教科力は車の両輪。
・ピンチはチャンス。迷ったらGO。悩むより動く
困難に出会うこともある。そんな時こそ新しい力が身につくチャンス。避けずに、打開策を練ろう。時間をかけてでも。
・課題を整理して、自分に必要な分野に集中
忙しい中で力を伸ばすには、自分の課題把握が必要。
・夢は大きく、根は深く。夢は実現する、夢しか実現しない
努力を続けることが我々の才能。そのための目標は大きく、根強く。
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